2003年5月2日 ピロリ菌を追え!!(その2)

4月23日に書いたとおり、 5月2日の今日はいよいよ胃カメラ検査の日。
実はうさぎ、胃カメラって初めてなんです。

・すごく苦しい
・ヨダレがダラダラでてすごくみっともないことになる
・カメラを入れるとき、食道が痛い

などと、いろんな人からいろいろ脅されていたものだから、 十二指腸潰瘍を患っているにもかかわらず、 これまでの人生では避けて通ってきました。 今回は、ピロリ菌退治薬を手にいれてこの潰瘍からオサラバしたい一心で、 ついに胃カメラ検査に踏み切ったのです。

だから、分かるでしょ? これがうさぎにとっては並々ならぬ決意だってこと!
「ちょっと胃カメラでも飲んでみよっか〜」なんていう軽い気持ちなんかじゃない。
うさぎにとって"胃カメラを飲む"というのは、 ちょっとした手術を受けるくらいのインパクトがあったのです。

うさぎは痛みに対する耐性に極端に欠けるヤツなので、検査にあたっては、あらかじめ ノドの麻酔だけでなく、「睡眠薬使用」というお医者さまおっしゃるところの "特別オプション"をつけておきました。
それでも心配だったので、意識が朦朧とするよう、昨夜は徹夜しておきました。
だってさあ、いつにない緊張感のなか、睡眠薬くらいで眠れると思う? 絶対ムリだと思うわ。

今日は朝からとてもいいお天気。 病院へ向かおうとマンションのエントランスを出たら、色とりどりのパンジーが 5月の風にゆれていました。
徹夜で迎えた朝はさすがにフラフラで、 病院までの道がスポンジみたいにフワフワしていました。 頭がぼんやりしていて、おかげさまで恐怖感もだいぶ薄く、現実味がない。
でも病院に無事にたどり着かないと。 車に轢かれないように気をつけなくちゃね。

検査はまず腹部エコーから。いわゆる「超音波」です。 しなくていいような検査だとは思ったけれど、 胃カメラの前のウォーミングアップとしてはちょうどいい。
それが終わると、「中央処置室へ行ってください」といわれました。
ゾオォ‥、中央処置室?! なんて恐ろしい名前かしら!

「睡眠薬の点滴を入れますので、そこに横になって」
「すみません、わたし 特に痛がりな体質なので、なるべく痛くないようにお願いします」
「ああ、分かりました。でも大丈夫。チクッとする程度ですよ」
「はあ。まあとにかく、なにとぞお手柔らかに‥」

注射や採血など、体に針を差すときには、うさぎ、必ずこのセリフを言うの。 少しでも痛くないように気を遣ってくれたらいいな、と思って。
先日採血したときにも、同じセリフを言ったけれど、 その時は本当に、ほとんど痛みを感じなかった。 「ありがとうございます! 全然痛くありませんでした!」って 思わずお礼を言っちゃった。
今日の点滴も‥まあまあだったかな?

中央処置室から検査室までは、点滴と一緒に歩きました。まるで重病人みたい。
腕が重くて痛い。針を抜いてからの方が痛いような‥。 それに、怖いの。チューブが引っ張れたりしたら、どうなるんだろうと思うと。

胃カメラ用の検査室に入ると、看護婦さんに麻酔薬を渡され、喉に含むように言われました。 ゴクンと飲んではいけないんだそう。
ほんの少しの量なんだけれど、食べ物や飲み物ではないものを口に含むのって、すごく嫌! 自家中毒気味のうさぎは、小さなビーカーを口近くまでもっていくたびに吐きそうになり、 数回目のチャレンジでやっと口の中に入れました。 看護婦さんがうさぎのアゴを押し上げて、上を向かせました。 麻酔薬が喉まで落ちていくように。 でも、気持ちが悪い。 「5分間そのままで」といわれたけれど、 2分くらいしたら気分が悪くなってきてジタバタしていたら、 看護婦さんが「仕方ない。ここに吐いていいから」と、トレーをくれました。

「さあ、一本注射を打ちますからね」と看護婦さん。 これを打つと、胃の内部がはっきり見えるんですって。
「すみません、わたし 特に痛がりな体質なので、なるべく痛くないようにお願いします」 とさっきのセリフを繰り返すうさぎ。
「何言ってるの! 針を差すんだから、痛いに決まってるでしょ!」
「‥そ、そうかもしれませんけれど、なるべく‥ってことで」
「なるべくもなにも、注射っていうのは痛いものなんです!」
「‥はあ‥」 うさぎ、もお泣きそう!

しかも。その注射は痛かった。本当〜〜〜〜に痛かった!
「なにコレ?! 痛い! すごく痛い! 痛い、痛い〜〜〜!」って叫びながら、 気づいたら足をバタバタさせていました。
「叫んでもいいけど、腕は動かさないで。そうよ、この注射は痛いのよ」 と冷ややかな、まだうら若き看護婦さん。

注射が終わると、うさぎは涙目になっていました。
でも、そのあとの本番は、意外にもラクだったの。 台の上に横たわったあと、ぎゅっと目を瞑っていたら、 口の中にプラスチックのロートらしきものが押し込まれ、 何分もしないうちに「さあ、終わりましたよ」と声がかかりました。

"終わりましたよ"って、何が?

わけが分からずぽかんとしていたら、 「もう終わったので起き上がっていいです」と言われ、点滴も外してもらいました。

あれ〜? 胃カメラ、もう終わったんだ〜! ラッキー!
口の中にプラスチックを押し込まれたのは、ちょっと気持ち悪かったけれど、 どこも痛くも苦しくもなかった! よだれも全くでなかった。
なんだ、こんなことなら睡眠薬点滴なんかつけるんじゃなかった。 点滴の方がよっぽど苦痛だったわ。

検査の結果は、やはり「十二指腸潰瘍」でした。合併症はナシ。
「あなたのは"霜降り潰瘍"と呼ばれるタイプでね。これ、相当痛いでしょ。 お薬2週間分出しときますね」とお医者さま。

「あの〜」とうさぎはおずおず言いました。 徹夜の上に睡眠薬を使ったせいで、頭がよく回らない。 喉の麻酔のせいで、声もうまく出ない。 でもこれだけは言わなくちゃ!
「ピロリ菌の検査はどうなりましょう?」

「ピロリ菌?
ああ、潰瘍が治ったら、そのうちピロリ菌の検査もしましょうね。
まずは2週間薬を飲んでみて」

はあああ?? "そのうち"?!
内視鏡(胃カメラ)を入れるついでに細胞膜を採取してピロリ菌の検査に回すって、 この間は言ってたじゃないか〜〜〜!
だいたい、2週間普通の薬を飲んだくらいで治る潰瘍なら苦労はしない。 2年間飲みつづけても直らなかったからサジを投げてたのに!

それに新聞にはこう書いてあったはず。

胃かいようの治療について、厚生労働省の研究班は初のガイドラインをまとめ、発行した。 「ピロリ菌の駆除」を治療の最優先とする一方、 現在多用されている約20種類の「防御因子増強薬」に対しては、 「ほとんどは効果がはっきりせず、推奨しない」と判定を下す内容となった。

「すみません、その薬って、どういった薬なんでしょうか」と尋ねると、 「胃酸の分泌を押さえる薬です」と。 ああそう、それじゃ少なくとも「ほとんどは効果がはっきりしない防御因子増強薬」 ではないわけだ。
でも、これに関しても、新聞にコメントがあったはず。

アレルギー体質などで抗生物質が使えない場合や、原因が不明の胃かいように対しては、 「H2ブロッカー」など強力な酸分泌抑制薬による治療を推奨した。

‥うさぎはべつに抗生物質が使えない体質じゃないし、 原因はまだ調べてないんだから、調べればいいじゃないかっ!
他の治療法がダメだって分かっているからこそ、 こうして「ピロリ菌退治法」にこだわってるんじゃないかっ!
綿々と意に沿わぬ薬を買わされ続け、結局ピロリ菌退治法はうやむやになるんじゃ‥(怖)。
しかも、潰瘍が治ったかどうか調べるとかいって、また胃カメラを飲むハメになるんじゃ‥(泣)。

とりあえず、おとなしく処方せんをいただいては帰りましたが、 調剤薬局には寄らず、すこし考えてみることにしました。 で、うちに帰ってから、処方された2種類の薬についてネットで調べてみました。

パリエット
胃酸分泌抑制薬(発売元:エーザイ)
ゲファニール
胃酸に対する「防御因子増強薬」(発売元:住友製薬)

とのことでした。
くすん‥。 やっぱり厚生労働省が「ほとんどは効果がはっきりせず、推奨しない」という 防御因子増強薬まで処方されてる‥。

あーあ、こんなことで、いつの日かピロリ菌退治薬に手が届くのだろうか。
なんだか却って道が遠くなったような気がするのは、うさぎの気のせい?

お医者さまは普通に真面目に患者のためを思っているように見える。 調剤薬局と結託し、いたいけな庶民に効果が疑問視されている薬を売りつけて 搾取を謀っているようには見えない。
でも、どうして厚生労働省が推奨しないような薬を買わなくてはならないの?

"十二指腸潰瘍である"という診断書を書いてもらって他の病院に行こうかな。
でも知ってるんだ、この病院、名前や住所、診断名などすべて必要事項をこちらで書き入れた 診断書にただ医師の判を一つ押すだけで、 「診断書作成料」として6000円から1万円も取るの。
それを支払って他の病院に行っても、どういう展開が待っているか分からないしなあ‥。
くすん‥、病院なんかキライだ〜っ! うさぎって限りなく弱者だわ‥。

とりあえずは、血液検査の結果が出た頃、 今度は新聞の切り抜きを持って病院に行ってみようと思います。

さあ、はたしてうさぎはピロリ菌退治薬を手に入れることができるでしょうか?
この話はまたしても、つ・づ・く