2004年1月14日 分かってきた! デジカメ♪ (6) 天国?地獄?! 夢のデジタル一眼

(5)「もっと被写体を引き寄せたい!〜望遠への熱い想い」からのつづき

一月前のこと。ヨドバシカメラの店頭で、 わたしは今評判のEOS kiss Dijitalを見せてもらっていました。

「やっぱり一眼レフよねー。マニュアルで撮影したいし」 などと傍らの店員さんに分かったようなことを言いつつ電源を入れ、 撮影モードにしていざ試し撮りをしようと思ったら、あらま、液晶画面は真っ暗。
「あらやだ。液晶画面が消えちゃったわ。どうして?」と言うと、 店員さんは、
「お客さん、撮影するときには液晶は見れませんよ。これは一眼レフですから。 ファインダーを覗いて撮ってください」

‥え?!

「これは一眼レフですから」という店員さんの言葉に 軽い咎めのニュアンスを感じたわたしは、
「あ、あははは。な、なるほど〜?」とか何とか取り繕いつつ、思わず赤面。 図らずも店員さんに無邪気なところをお見せしてしまったわ〜、と。

実はこの瞬間まで、そんなこと、全然知らなかったんです。 デジカメでも一眼レフは液晶を見ながら撮影できないだなんて。 まさに晴天の霹靂! それまで「デジカメっていうのは、液晶を見ながら撮影できるカメラのことだ」 ぐらいに思っていました。

それにしても、外見を見るだけでなく、実際に手にとって試写してみてよかった。 この特徴に気付かずにもし購入していたら‥と思うと、赤面転じて青くなりそう。

デジカメ売り場はいつもお客さんで大賑わい。 みんな意中のデジカメを眺めたり手に取ったりしています。 だけど、わたしのように実際に電源を入れて、自分で操作してみる人は案外少ない。 せいぜい店員さんが説明しながら操作しているのを眺める程度です。 わたしのように、いじりたい機種がバッテリー切れだったりしたら 店員さんを呼びつけてバッテリーを交換してもらってでも試す人となると―― ほとんど皆無かも。

もっとも、大抵のデジカメ売り場は、展示品を数多く用意してはいるものの、 案外、電池が切れていたり、メモリカードが入っていなかったりと、 実際に試し撮りのできる状態になっていないことも多い。 わたしが横浜西口のヨドバシカメラ を贔屓にしているのは、 この売り場に置いてあるおびただしい数のデジカメのほとんどが、 いつでも試し撮りのできる状態に整備されているからです。

‥って、また脱線してしまいました。デジタル一眼に話を戻しましょう。

「デジタル一眼は液晶を見ながら撮影できない」という特徴は、 かなり大きなショックをわたしにもたらしました。 液晶を見ながら撮影できることは、 写真の仕上がりをすぐに確認できることと同じくらいのインパクトを持つ デジカメの大きな魅力であったからです。

にゃんこが並んでひなたぼっこ

もちろん、ファインダーを覗くことに意義がないとは申しません。 ファインダーを覗くことの意義は、わたしも充分わかっているつもりです。 先日チャアとネコを撮りに行った時、 デジカメを銀塩に持ち替えてそのファインダーを覗いた瞬間、 それまで見ていたデジカメの液晶画面とは全く違う世界が広がっていたのに驚き、 夢中になりました。 逆光の中で、ネコの毛がキラキラと金色に光っていたのです。 その光景の美しいことといったら‥! ファインダーを覗いていたら、鼻の奥がツンと痛くなりました。

残念ながら、現像してみるとどれもこれも失敗ばかりで、 ロクな写真に仕上がってはいませんでしたが、 あの毛の輝きをファインダーの中に見つけただけで、わたしは充分満足でした。 技術なんてものはいつでもあとからついてくる。 また撮りにいけば良いのですから。

‥そんなわけで、ファインダーを覗いて撮ることに、異議を唱えるつもりは毛頭ありません。 ただ、わたしがそれまでデジタル一眼に求めていたのは、「汎用性」でした。 いつでもどこでも、何一つガマンする必要のない、何一つ切り捨てる必要のない「汎用性」を デジタル一眼に求めていたのです。

デジタル一眼さえ手に入れれば、 広角から望遠まで、レンズを替えることでどんな画角も手に入る。 開放にすればボケ味が楽しめ、パンフォーカスにしたけりゃ、絞ればいい。 画質に妥協する必要もなく、 銀塩と同じペンタプリズム方式の美しいファインダーを見ながらその感動を写しこめ、 手軽に撮りたい場面では液晶を見ながら撮れる――はずでした。

要するに、それを手に入れさえすれば、 ありとあらゆるものが手に入ると思っていたんですね。 唯一多少のガマンを強いられるのは、その大きさと重さくらいのものでしょうか。 これも、ボディにEOS kiss Dijitalを選び、レンズも軽めのものをメインに考えればそう法外な大きさ重さではない。 しかも当時はカメラの相似性についても分かっちゃいなかったから、 それすら楽観していました。 そのうち、デジカメ一眼でも、もっと小さくてコンパクトなものが出てくるであろう、と。

ところが、そういう夢を一気にぶち壊してくれたのが、 この「デジタル一眼は液晶を見ながら撮影できない」という事実でした。

なんでデジタル一眼は、液晶画面を見ながら撮影できるようになっていないんだろう?

最初、わたしはそれを、カメラメーカー各社のつまらぬプライドのせいだと思いました。 「当社自慢の一眼レフを、チャラチャラ液晶なんか見ながら使って欲しくない。 そんなユーザはお断り」みたいな。

ところがちょいとばかり調べてみると、どうやらそうではないらしい。 ペンタプリズム式のファインダーを使っている一眼レフモデルに於いて、 液晶を見ながら撮影する仕組みを実現するのは、技術的に困難なのだそうです(追記参照)。

そしてまたまた調べていくうちに、夢の崩壊に追い討ちをかけるような事実に遭遇。 それは、 いつでもどこでも気軽にレンズが交換できるわけではないらしい という事実でした。

ここで問題となるのは大気中の塵や埃です。 レンズを交換するときには塵や埃に気をつけないと 撮像面(CCD)に付着してしまう虞があるのだそうです。 特に屋外でレンズを交換するときは要注意なのだそう。 ――これを聞いてしまったら、デジタル一眼に抱いていた憧れが半減してしまいました。

  1. デジタル一眼は液晶を見ながら撮影できない
  2. レンズの交換には注意が必要

それは、わたしに、 汎用的なデジカメなんて存在しない という事実をつきつけました。 わたしがそれまで欲しがっていたような、

広角から望遠まで網羅し
ボケを出すことも、パンフォーカスにするのも自由自在
画質に妥協する必要もなく
美しいファインダーで感動することも液晶を見ながら撮ることもできる

なんていう夢の一台は、この世に存在しない。 万能なものなんて、この世のどこにもないのだ、と。

――まあそうは言っても、ならばデジタル一眼への憧れが完全に消えたかというと、 そんなことはないんですけれどね。 画質、ボケ味、階調の豊かさ‥。 そういうことを考えると、デジタル一眼はやっぱり魅力。 やはりお金がかかっているだけのことはあると思います。

だけどそれは、もともと銀塩の持っていた特長なのです。 「フィルム代がかからない」「仕上がりをすぐに確認できる」ことさえ諦めれば、 すでに手の中に握っているものだった。

ああ青い鳥、オマエはずっとここにいたんだね――

そう思いつつ、手持ちの銀塩カメラをつくづく眺めたわたしでありました。

(7)「デジカメ選びのポートフォリオ」につづく

1月14日追記:

なぜ一眼レフは液晶画面を見ながら撮影できないか

いまだにその理屈は理解できていないのですが、 ペンタプリズム式のファインダーを使っている一眼レフモデルに於いて、 液晶を見ながら撮影する仕組みを実現するのは、技術的に困難なのだそうです。

と本文に書き、誰かが教えてくれるのを待っていたら(他力本願)、 minoさんが、 一眼レフとコンパクトデジカメの仕組みの違いを解明し、 分かりやすく説明してくださいました(やったね!)。 それでわたしもようやく理解できましたので、以下にその成果を追記しておきます。

デジカメ一眼の仕組み

  1. 通常シャッター膜は閉じており、 レンズから入った光はすべてファインダーに送られる
  2. シャッターを切るときのみシャッター膜は開き、CCDに光が送られる
  3. 撮影が終わったらまたシャッター膜を閉じる

【 一眼レフの仕組み概念図 】
(マウスをのせると撮影時の仕組みに変わります)
デジカメ一眼の仕組み

コンパクトデジカメの仕組み

  1. 通常シャッター膜は開いており、レンズから入った光はすべてCCDに送られる
  2. シャッターを切るとき、一旦シャッター膜は閉じ、もう一度開いてまた閉じる
  3. その後またシャッター膜を開いてCCDに光を送る

【 コンパクトデジカメの仕組み概念図 】
コンパクトデジカメの仕組み

【 コンパクトデジカメ(ハイエンドモデル)の仕組み概念図 】
コンパクトデジカメの仕組み
このタイプでは、二つの液晶画面を切り替えて使用する。

なるほど、コンパクトタイプとデジタル一眼とでは、その仕組みにこんな違いがあるんですね。