2005年1月31日 住宅本ブックレビュー

最近読んだ住宅関連の本の一覧です。 メモ代わりに簡単な感想を記しました。 比較的、気に入ったものにはマークをつけてあります。 タイトル名にアマゾンへのリンクを張っておきましたので、 手っ取り早く手に入れたい方はご利用ください。

新築関連

建築業界の矛盾を面々と綴る憂鬱本、 「アナタ、それでも家を建てますか」という、決意を試すような本が多いので、お覚悟のほどを。 一冊だけ読むと著者の哲学に洗脳されがちなので、異なる著者の本を複数読むことをオススメ。 「人によって、こんなにいろんな見方、考え方があるんだ〜!」と気づかされます。 ただし、何を信じればいいのか分からなくなること請け合い(笑)。

「いい住まい」の本―住む人が幸せになる家・後侮しない家 天野彰著 PHP 2000年   
家づくり 建築家の知恵袋―「子ども部屋」のために家を建てるな 天野彰著 講談社 2000年
新築よりもリフォームで有名な天野氏の新築本。 在来工法支持。 天野氏の著作は互いに重複する部分が多いので、新築関係とリフォーム関連それぞれ1冊づつ読めば充分という気も。 新築関連でよりオススメなのは「いい住まい」のほう。 波乱万丈な天野氏の半生記が実に面白い。
いい家の本 宮脇檀著 PHP 1998年   
「家作りは夏をむねとすべし」の在来工法支持。住まいに関する基本的な考え方が天野氏と似通っているように思う。 いかにも建築界のサラブレッドという雰囲気で、本の内容もバランスが取れていて実にスマート。 あともう何冊か読んでみたい。
読まずに建てるな まともな家に住みなさい 加治将一著 文藝春秋 1997年   
高断熱高気密の2×4支持。 資材や職人を北米からそっくり丸ごと輸入する方法の記述は圧巻。 素人が実践するにはリスクが大きすぎるが、 コストダウンというのは、そこまでしてこそ実現できるものなのだと納得。
家づくり革命―スーパー工務店社長の秘伝 安くていい家が必ず手に入る! 平秀信著 ナツメ社 2004年   
安くていい家―家計に優しくて住宅のプロがうなる家づくり 平秀信著 オーエス出版 2003年
在来工法工務店の社長の本。 ムダを省いたコストの削減を謳っている。 但し、著者の考える「無駄」が、誰にとっても「無駄」とは限らない。 なので、情報の取捨選択は必要かも。 この二冊は重複部分がほとんどないので、両方読む価値はある。 オススメは、土地の安い仕入れ方のコツが書かれている「 家づくり革命 」の本。
渡辺篤史の こんな家を建てたい 講談社 1996年
渡辺篤史の こんな家に住みたい 講談社 1998年
渡辺篤史の こんな家で暮らしたい 講談社 2002年
「渡辺篤史の建もの探訪」というテレビ番組で取り上げられた住宅を多数掲載していて、 カラー写真も多く、見ていて楽しい。 建築家が設計した家が多く、どれも割と似かよっている。 外壁はコンクリート打ちっぱなし、内装はシナベニヤが目立ち、基本的にモダン。 間仕切りの少ない開放的なプランが多く、 極小地に建てられた変形の家を多数収録してあるので、制約の多い敷地をお持ちの方には参考になりそう。 ただ、それぞれの住まいに住んでいる人の感想が収録されていないのが残念。 ハード(建物)だけでなくソフト(住まい方)の視点も欲しかった。
古くて豊かなイギリスの家 便利で貧しい日本の家  井形慶子著 新潮文庫 2004年
イギリス贔屓の作者による、イギリスの住まい礼讃。 日本の住宅は、一時的に便利ではあるが、長期的な視点が欠けているという点にはとっても共感。 ただちょっと気になるのは、なぜか著者がイギリス側の人間になってしまっていること。 「あなたがた日本人は〜」といった感じが鼻につき、読んでいていたたまれない。
素顔の家づくり―泣いた!笑った!「住まいづくり」体験談 住宅金融普及協会 2001年
新築の苦労や、住まいにまつわる思いを綴ったエッセイ集。実を言うと、かく言うわたしも執筆者の一人。

リフォーム関連

制約が多い分、もしかしたら新築以上にアタマを使うのが、リフォーム。 業者が勧めてくるリフォームは、システムキッチン、システムバス、システム収納といった、 単なるセットの販売が多いけれど、本当は、リフォームっていうのはもっともっと自由なはず。 頭の使い方一つで、工事費のゼロの数が簡単に変わってくるリフォームこそ、 本を読んで勉強すべし?!

“狭い”家を2倍広く使う!天野式驚異のリフォーム術 天野彰著 すばる舎 2002年
建築家の住まい学 今の家を広く住む 天野彰著 講談社プラスアルファ文庫 2001年
リフォームは、まず300万円以下で―絶対に得する建築家の知恵 天野彰著 講談社 2000年
リフォームの草分け的存在である天野氏の著作。 内容はどれも似通っているので、全部を読む必要はないかも。 リフォームの実例が欲しい方には「 驚異のリフォーム術 」が一番のオススメ。 それぞれの実例に予算の目安がかかれていてとても分かりやすく、便利。 「実例」より「発想」重視ならば、「 今の家に広く住む 」がオススメ。 文庫本で場所をとらず、手軽に読めます。
マンションの中に世界でたった1つの木の家(エコ・ハウス)を建てる 麻生木綿子著 飛鳥新社 2000年   
素人が、購入した新築マンションを、追加資金300万円で引渡し前に大改造! いかにコストダウンをはかりつつ、押さえるべきポイントをしっかり押さえるか。 業者との駆け引きや、自分の気持ちとの折り合いのつけ方、その奮闘ぶりが面白い。 文章もとても上手で引き込まれる。