テュルク諸語

中央アジアの言語

 最近「中央アジア」というキーワードによく遭遇します。

 ロシア料理本に中央アジアの料理を見つけたり、スカイプレッスンでタジク語が話せる先生に出会ったり、いつも読んでいるブログで中央アジア関係の記事があったり。

 先日の外語祭でも、中央アジア地域のブースで買った羊の串焼きシャシリクが美味しかった。

 串焼きを売ってくれた学生さんによれば、中央アジア5カ国の言語と文化を学んでいるとのこと。カザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン。いわゆる旧ソ・スタン系。

 あとでネット(東京外国語大学・中央アジア地域)で確認したところ、ロシア語専攻が途中から分かれるのだそうで、2017年現在まだ卒業生は出ていない新しい科のようです。

 何かとご縁があるようなので、この機会に中央アジア5カ国の違いを簡単に整理してみることにしました。

中央アジアの定義

 広義ではモンゴルや中国の新疆ウイグル自治区などを含む。

 ここではカザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタンの5カ国を指すものとする。(参考:wikipedia「中央アジア」

位置関係

 位置関係は以下の地図の通り:

共通の特徴

  • いずれも旧ソビエト連邦の共和制国家で、独立国家共同体 (CIS) 加盟国
  • イスラム教徒(スンナ派)が多数派を占める
  • 国名の元となった民族が多数派(65~85%)を占める
  • タジキスタン以外、トルコ系
  • カザフスタンのみロシア人の割合が20%強、他は数パーセント

国・言語比較

国名面積人口
カザフスタン271.7万km21807万人
キルギス(タン)19.8万km2590万人
ウズベキスタン44.7万km22956万人
トルクメニスタン48.8万km2520万人
タジキスタン14.3万km2835万人
中央アジア諸国の面積と人口
言語名系統文字話者数
カザフ語テュルク諸語北西語群キリル800万人
キルギス語テュルク諸語北西語群キリル 300万人
ウズベク語テュルク諸語南東語群ラテン2500万人
トルクメン語テュルク諸語南西語群ラテン756万人
タジク語印欧語族イラン語派キリル850万人
中央アジア諸国の言語

※ 文字はその言語を公用語とする国での公式表記。

  • 国土はカザフスタンが圧倒的に広いが、人口はウズベキスタンのほうが多い。
  • 国の人口と多数派話者の人口には対応が見られる。ロシア語化が進んだカザフスタンのみ例外。
  • トルクメニスタンではトルクメン語とロシア語が公用語。カザフスタンではカザフ語が国家語、ロシア語が公用語、キルギスでは国家語がキルギス語、ロシア語が公用語、ウズベキスタンではウズベク語、タジキスタンではタジク語のみが公用語となっている。
  • タジク語はペルシャ語によく似た言語。ペルシャ語が分かれば、タジク語やアフガニスタンのダーリ語も、20分も聞いていれば理解できるようになるそう(子供時代をイランで過ごしたDMMの先生談。前職はペルシャ語等の翻訳。パシュトー語、クルド語ソラニ方言も話せる)。

 イランの現代ペルシャ語より、タジク語のほうがより古風なペルシャ語に近く、詩的な響きを持つのだそう(タジキスタン出身の先生談。趣味はペルシャの古典詩)。

 しかしタジク語の表記はキリル文字なので、アラビア文字を使うダリー語やペルシャ語と一見全く異なる。

  • テュルク諸語は分布の広大さに比して言語間の差異が比較的小さく、宗教的・歴史的・政治的理由から、アラビア語・ペルシャ語・ロシア語からの借用語が多い。
  • いずれの言語もかつてアラビア文字で表記されていたが、ソビエト連邦成立後、キリル文字表記に移行化。ソ連崩壊後、一部の国が公用語をラテン文字化した。中国の話者は現在でもアラビア文字を使用するなど、文字表記は多様。

 中央アジア関連のことは、今後もこのページに書き足していきます。

ウズベクのうどんЛагман ラグマン
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