自在箒
自在ぼうき。

最近、引越しをしました。 今度の家の床は板張り。いわゆる「フローリング」ってヤツです。 さて、この床を何で掃除しましょう?

前の家はじゅうたん張りだったので、床の掃除といえば、掃除機に決まっていました。 でも今度の家の床は、貼ってある板がやわらかくて、すぐキズついてしまいそう。 前みたいに掃除機を無造作にガラガラ引きずり回すのはちょっと勇気が要ります。 しかもじゅうたん以上に埃が目立つ。 なのでもっと手軽に気軽に床掃除できる道具はないかな、と探していました。

で、まず最初に思いついたのが 「自在箒 」。 なんかねえ、床見てたら、学校の掃除を思い出しちゃったんですよねえ。 学校の掃除用具入れには普通のほうきやモップも入っていたけれど、 わたしは断然、自在ぼうきが好きで、いつも一番に取りに行ってたものです。 だって自在ぼうきは人気で、出遅れると他の子にとられちゃうんですもの。 他の子に自在箒を取られた悔しい思い出も手伝って、 自分専用の自在ぼうきがあったらどんなに幸せかしら、って思ったの。

でも、スーパーにサイフ握り締めて買いに行ったら、これが売ってなかったんだわ。 3軒見たけど、売ってない。 えっ、自在ほうきってそんなにマイナーなものだったの?

そういえば、自在ほうきって、学校でしか見たことない。 どこかよそのお宅の隅に立てかけてあったのを見た記憶が全くありません。 あれって家庭じゃ使われないものなのかしら? それとも、わたしが子供の頃にはあったけど、今は廃れてしまったの?

でも、自在ほうきが見つからないからって掃除をしないわけにはいきません。 とにかくこの床のホコリを何とかしなくっちゃ――というわけで、いろいろやってみました。

まず最初にやってみたのは、床にはいつくばって、手でゴミを集めること。 これ、地味な作業だけど、けっこうやりだすとハマる。 ちょっとやっただけで、髪の毛とか細かいチリやゴミがけっこう集まるので充実感があるんですよねえ。 土曜のたびにチャングム見ながらテレビ前の床をこうやって掃除するのが慣例となりました。

ダスキンのモップ

それから ダスキンがお試し用に置いていったモップ、 これもせっかくだから使ってみました 長い柄がついているのでかがまなくて済むのはラクでしたね。 掃除をする自分の姿を想像すると、なんだか甲斐甲斐しい奥さんみたいで、けっこう酔えます。 「フローリングを掃除するわ・た・し」みたいな〜?

ただ、モップというのはゴミやホコリをふき取ってくれるのはいいんだけれど、 モップに付着したそのゴミやホコリをどうするか、っていうのが大問題なんですよねえ‥。 モップについた髪の毛やら何やらを手でいちいち取って捨てる自分の姿を想像すると、 甲斐甲斐しい奥さんを通り越して、なにやら物悲しいものが‥。 ゴミ箱の上でモップを振って塵を振り落とそうとしてもみましたが、ゴミ箱に入るより、 周りにちらかる量のほうが多くって‥(涙)。 そりゃ4週間に一度は交換に来てもらえますが、一回掃除すれば塵芥で飽和状態。 あとの27日間の掃除は一体どうするのよねえ‥?

で、結論。 結局モップというのは、箒の代わりにはならないんですね。 モップというのは本来、箒なり掃除機なりであらかたのゴミやホコリを取り去ったあとに、仕上げをするものらしい。 モップがけというのは掃き掃除をしたあとのプラスアルファの一手間であるからこそ 甲斐甲斐しい奥さんのイメージがあるわけで、 そもそも掃き掃除を省略していきなりモップから入るというその発想からして わたしなどは甲斐甲斐しい奥さん落第であります。

フローリングワイパー

そこで第二案。 「フローリングワイパー」なるものをスーパーで求めてきました。 但し、レフィルのみ。 とりあえず、ゴミのキャッチ力を見たかったので。

確かにこれは、「ミクロの繊維が細かいホコリや髪の毛をしっかりキャッチ」 というのが売り文句であるだけに、けっこうキャッチしてくれました。

‥ウン、悪くはなかったです。 けっこうキャッチしてくれました。 掃除し終わったシートには髪の毛がいっぱいくっついていて、充実感に浸れました。

でもねー‥。 確かにけっこうキャッチしてくれるんだけど、100%じゃないんですよねー。 どうしても取りこぼしがある。 70〜80%くらいはキャッチしてくれるんだけど、20〜30%は残る、そんな感じです。 ‥で、残ったその20〜30%をどうするか、っていうと、結局手で集めて拾うことになるわけです。 それってなんか、もうひとつありがたみがなかったりなんか‥。

粘着ローラー

そこで第三案。 「粘着ローラー」 であります。 これもとりあえず、レフィルのみ買ってみました。

これはすごくよく取れました! ゴミもチリも髪の毛も、一網打尽! ネコが毛糸玉にじゃれるが如く、チャングム見ながら前足‥もとい、手でちょいとつついては、 あっちへゴロゴロ、こっちへゴロゴロ。 なかなか楽しい♪ つけようと思えば長い柄も売っているので、甲斐甲斐しい奥さま風に、姿勢良く立ってコロコロやることも可能です。

ただこれもモップと同じで、ゴミを集めているときはいい。 問題は、付着したゴミを捨てるときであります。 ゴミがいっぱい付着したテープを捨てるのは達成感のある仕事ではありますが、 巻き終わりと巻き始めにまたがって付着する髪の毛も多いから、 なかなかすっきりと古い部分だけ破って捨てることが難しいんですよね。 洗面所やトイレなど狭いところならいいのですが、リビングなどある程度広い範囲を掃除するとなると、 一枚ではゴミを取りきれず、何度もちぎっては捨て、ちぎっては捨て、という感じになります。 ‥ウーン、ちょっと面倒。それに勿体ない

それにね、新しいシート下ろしたてのときには粘着力が強すぎて、転がしてもコロコロ転がっていかないし、 シートが古くなってきたら古くなってきたで、今度は粘着力が弱すぎて、転がしてもきれいにならない。 幼少期と老年期ばかり長くて案外壮年期が短いヤツなのであります。

ただ、意外に便利なのが、塵とり代わりになることです。 モップフローリングワイパーでとり逃したゴミの上で ローラーを転がし、仕上げる。これでカンペキ、であります。

‥とまあ、いろいろやってみたのですが、こうして試行錯誤を重ねるうち、気づきました。 やはりなんだかんだいって、掃き掃除というのは、一つのツールでは無理なのではないか、と。 モップフローリングワイパー粘着ローラーも、 それ一本で従来ほうきちりとりが別々にやってきた 「ゴミを集める」「ゴミをすくいとる」という二つの仕事をやろうとしていますが、 結局のところ、一つではどうしてもまかないきれない。 だから不満が残るのではないか、と。

確かに、ほうきだって100%ゴミを集められるわけじゃないし、 塵取りが100%ゴミをすくいとるかって、そんなこともないのですが、 ほうきで掃いて塵取りですくえば、少なくとも95%くらいのゴミが集められます。 ところが一つのツールでこれをやろうとすると、どうしてもここまでの達成率には及ばないので、 80%くらいの達成率でよしとするか、膨大なレフィルを使うか、という選択を迫られることになります。

‥してみると、 古来から脈々と続いてきたほうき・ちりとりコンビってやはり偉大なのでわっ?! と思えてきたりして。 結局、ほうきとちりとりを真面目に探すことにしました。

自在ほうき

‥で、ホームセンターでやっと見つけたのが、この自在ほうきであります。

この自在ほうきのどこが気に入ったかって、なんと言ってもその見た目であります。 ホームセンターには、自在ほうきだけで何種類もあり、 柄がアルミやカラースチールで出来ていて伸縮自在のやら、継ぎ目がプラスチックで角度が自在に曲がるのやら、 機能的にもっと優れたものもありましたが、 わたしにとって機能と見た目、どちらがより大事かっていったら、圧倒的に「見た目」なんですよねえ‥。 なので、今回もこれを選びました。

どうです、このその辺に立てかけておいてもインテリアの一部になりそうな(さすがにそれはないか)いとしいお姿‥。 昔ながらの木の柄、昔ながらのブリキの継ぎ目、ブラシ部分には昔ながらの馬毛を使用 というレトロさに深く惚れました。 ブラシがダメになったら、そこだけ取り外して新しいものを買えるところも気に入りました。

自在箒のよいところは、なんとなくきっちりしているところです。 部屋の隅まできっちり掃けるし、ゴミもきっちり集まる。 それにゴミが舞いにくく、ブラシに絡むゴミが少ないところも魅力です。 普通の箒はブラシの毛が長いだけにゴミが絡みやすく、またすぐに撥ねてしまって、いくらも使わないうちに 見るも無残な姿になりますが、 自在ぼうきはブラシの毛が短いので、ゴミもそんなに絡まないし、わりと見た目が汚くなりにくい。 そこが気に入っています。

ただこのほうき、ブラシの毛が柔らかすぎるため、ブラシ部分を下にして置いておくと、ブラシの毛が寝てしまいます。 なので使わないときはブラシのほうを上にしておくか、柄と平行にして立てておくようにしています。 ちりとりのほうはいまだ買っていないのですが、このレトロなほうきに合うものというと‥やはり素材はブリキでしょうか。 床にキズをつけたくないので、もう少しやわらかい素材のほうがありがたいのですが‥。

‥悩むところです。

初稿:2006年9月7日

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