Essay  うさぎの旅ヒント

【 タイのマクドナルド 】

うさぎは訪れた大抵の街でマクドナルドを見学している。

だが、最初の頃に行ったプーケットとハワイのマクドだけは見学していない。 そのころはまだマクドナルド・ウォッチングに目覚めてなかったからである。
――で、ハワイのマクドに関しては、同じ合衆国内のグアムで見たからいいとして、 プーケット(タイ)のマクドを見ていないことが、長年の心残りであった。

ところが最近、タイの首都バンコクに3年ほど赴任していた知り合いが帰ってきた。 それで早速、彼女にタイのマクドナルドについて尋ねてみた。そして、

「そうねー、変わったことといえば、 タイのマクドには"サムライバーガー"っていうのがあったわ。
これは見た目はまるっきり日本の"テリヤキバーガー"なんだけれども 味がどことなく違うの。
パクチー(香草)が効いていて、なんかタイっぽい味付けなのよね」

という貴重なお話を頂いた。ここでうさぎの脳裏にまた新たな一句が浮かんだのであった。

どっか違う 異国で味わう 祖国の味

なーんてね。やっぱりタイのマクドは期待を裏切ることなく、 タイっぽいってところが嬉しいではないか!
それにこのネーミング! 和製ハンバーガーだから「サムライバーガー」とは。 このネーミングの安直さは、どっかで見たぞ。 ――そうだ。タイには日本のしゃぶしゃぶを模した「スキヤキ」という料理がある。 実態はしゃぶしゃぶなのに「スキヤキ」とはこれ如何に?、と思うが、 その名の由来は料理の「スキヤキ」にあらず、とうさぎは睨んでいる。 たぶん、「スキヤキ」という名で世界的にヒットした 坂本九の「上を向いて歩こう」から来ているのだ。 なにしろこの歌の知名度といったら、「星条旗よ永遠なれ」と共に星条旗が入場し、 「ラ・マルセイエーズ」と共にフランスの三色旗が掲げられる中で、 この「スキヤキ」の調べに乗って日の丸が登場するというくらいのものなのだ。

すき焼き料理は、欧米で早くから市民権を得た日本料理だから、 そもそも日本の歌に「スキヤキ」という名が付いた経緯も、そこら辺にあるのかもしれない。 だが、更に「日本のナベ料理」も「スキヤキ」、 「日本のバーガー」だから「サムライバーガー」というネーミングも、その安直さで笑える。 タイ人がとりわけ安直な国民だと言っているわけではない。 よく知らない国からよく知らないものが上陸してごらんな。 たとえばペルーなんて国からハンバーガーが上陸した日には、 日本人だってゼッタイ「フジモリバーガー」とかって名づけるに決まっている。 日本人はその昔、それが北欧のものだったというだけの理由で、 ビュッフェ料理に「バイキング料理」と名づけた前科があるのだから。

2001年11月24日 うさぎ

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