Essay  うさぎの旅ヒント

【 お洗濯 】

うさぎは主婦である。旅に出ても、それは変わらない。 日々増えていく洗濯物、それをうさぎが洗わなかったら、 汚れたものは永遠に汚れたままである。

たいていホテルにはランドリーサービスがあり、 お金さえ払えば何でも洗ってくれるそうだが、 わが家の旅行は貧乏旅行、そんなサービスは利用したことがない。 だから洗濯は、旅先でもうさぎの日課である。

でもこの仕事、うさぎは大ッ嫌い!  何でかっていうと、お日さまのいる外に洗濯物を干せないから。 海のものとも山のものとも知れぬ乾燥機のご機嫌を伺いながら洗濯物を乾かすのって、 ホント〜〜〜〜〜に、イヤ! 今まで何度乾燥機には泣かされてきたことか‥。 二時間も待たされた挙句ちっとも乾いてなかったり、 うまいことふんわり乾いたかと思いきや、 おニューのニットが縮んじゃってたり。それはもう、語り尽くせぬ苦労があった。

近年では、さすがに失敗は減ってきているものの、乾燥機にも様々な型があり、 それらに対して常に初対面なわけだから気を許せない。 本当に、いつものようにお日さまに向かって洗濯物を干せたら、どんなに気が楽かしら‥。

同じ家事で、慣れない器具を使うという点でも同じだけれど、 お料理に関しては、旅先でするのも悪くない。 むしろ、珍しい食材を使って珍しいキッチンでするほうが、いつもよりずっと楽しい。 なんかおままごとみたいで。けど、洗濯はホントに疲れる。

非日常を味わいたくて、うさぎは旅に出る。 けれど洗濯をする度、途端に日常へと引き戻される。 せめてもの救いは、洗濯場でいろんな人に出会えるチャンスがあることかな――。

2002年3月30日 うさぎ

<<<   ――   u-019   ――   >>>
NEW    HOME