 
	チェックインの時にネネとチャアが貰った無料券の束の中に、パターゴルフの無料券が入っていた。 それで昼食の後、早速挑戦してみることにした。
コンビニでパタークラブを借り、プール脇にあるパターゴルフ場へ赴くと、なだらかな丘に本物の芝が張ってあった。 コースにあたるところだけが綺麗に刈り込んであり、バンカーにあたるところの芝は伸びていて打ちにくくなっている。 色とりどりの花をつけた植え込みもあり、なにもしないで立っているだけでも楽しいような、素敵な場所だ。
	これまたチェックインのときに貰ったカーキ色の野球帽を被り、パターを手にすると、
	ネネとチャアはすっかりゴルフモードになった。
	ホールは全部で9。PER(パー)はどこも3。
	きりんが芝にしゃがみ、ボールを目の前にかざしてコースを占うしぐさをすると、チャアがそれに倣った。
	イッチョマエの格好が、なんとも可愛らしい。
	
	3回でボールをホールにもっていくのは至難の技‥に見えたが、最初のホールは、
	きりんとうさぎが4、ネネが5、チャアが7と、まずまずの出だしだった。2ホール目もまあまあ。
	だが、問題は3ホール目だった。
	このホールは丘のてっぺんにあって、まずはボールに丘の上までもっていかなければならない。
	そして、打ち損じるとどういうことになるか。
	うさぎの2打目はナイスショットで、おおお、これは1アンダーで入るか?!と思いきや、
	わずか数センチというところで穴からそれてしまった。
	あー、残念、これはPERだな――と思っていると、穴から逸れたボールは丘を一目散に転げ落ち、
	勢いあまってバンカーへ。
	「いや〜、ママ残念だったね。でもいまのショットはなかなかよかったよ」ときりん。
	「まっね〜、次はここから入れてみせやしょう」と軽口を叩いたまではよかったが、そのあとも、
	ホールの際まで持っていってはバンカー、というパターンを繰り返し、結局13も叩いてしまった。
	なんせ暑いので、1回ごとに集中力が落ちてゆく。疲れて自暴自棄になってくるから余計入らない。
	
結局、9ホール終わっての成績は、うさぎ50、ネネ57、チャア63と、ほとんどどんぐりの背比べであった。 もっともチャアのゴルフは、ボールをパターで誘導しながらホールまで持っていくという荒技であったが。
	緻密なゲーム運びと安定した集中力をモットーとするきりんは、2アンダーの25という好成績。
	「うそ〜! あたしの半分じゃない!」と悔しがるうさぎにきりんが一言。
	「あのさ、ママのグリップの握り方って、終始、腕が左右逆だったよ」
	
えっっ?! そんなこと今言われても‥。どうして最初に教えてくれなかったの〜?!