Indonesia  バリ島芸術の村ウブド

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【 プロローグ 】

バリはこれまで、何度も次回の行き先候補に上がりながら、 ずっと先延べになってきた渡航先だった。

回教徒が国民の大半を占めるインドネシアの中にあって、 ヒンドゥー教を信奉する人々の島・バリ。 「神々の島」と呼ばれるその独特な文化に憧れる一方で、 物売りのしつこさや日常茶飯事となっている両替サギの噂を聞くにつけ、 なんとなく億劫な気がしていたからかもしれない。 それにバリは、他のアジアのリゾート地に比べ、渡航費用が比較的かかる。 そうしたネックを押してまでバリでなくてはならない理由は、 海沿いの大規模ホテル内でのんびり過ごすスタイルの我が家とってなかった。 美しいビーチならバリのほかにもいくらでもあるのだから。

ところが今年は例年とはすこし事情が違っていた。 いつもはオフシーズンの安い時期を狙って日本脱出を図る我が家なのだが、 スケジュールの関係で、夏休みの終わりにしか動けなかったのだ。 お盆休みのピークシーズンからは外れているとは言うものの、 航空券価格にしろツアー価格にしろ、8月中はまだまだ高い。 様々な行き先を検討しては、その渡航費用の高さに溜息をつくうさぎの目に そのバリ行きのエアチケットは比較的割安に映った。 おそらく、昨年暮れのテロ事件、それに まだまだ予断を許さなかったSARSのアジア席巻の影響だったのだと思う。 航空券価格をみてもツアー価格をみても「世界中どこも高すぎる」と嘆く中、 バリだけは、なんとなく許せる価格のように感じたのだった。

そんなわけで、行き先はバリに決定。初めてヒンドゥー教の文化に触れられると思ったら、 うさぎはワクワクした。 そして、これまでとは違った発想で旅を組み立てることにしたのだ。

これまでのスタイルにこだわらず、
渡航先であるバリに沿っていこう

と。 せっかくバリに行くのだから、バリらしい過ごし方をしなかったら勿体ない。 せっかくだから、 バリらしい地域のバリらしいホテルに泊り、バリでしかできない過ごし方をしたい。 ほかのリゾート地では代用の効かない過ごし方をしたいと思った。 幸い子供たちも大きくなり、できることも多くなってきた。 5年前だったら無理だった過ごし方も、今ならできる。

そこで海から離れた高原に絞り込み、 いつもとは全く違った趣きの宿を滞在先に選んだ。 「アラム・ジワ」と「アラム・プリ」。どちらも総部屋数10室前後の小さなホテルである。 "アラム"とはインドネシア語で「自然」。 「アラム・ジワ」は「自然の魂」、「アラム・プリ」は「自然の宮殿」。 その"自然"に抱かれながら、うさぎはバリでしか描けない絵を描きたいと思った。 他の皆も、きりんはバリの舞踊と音楽に興味を持ち、 ネネは木彫りと料理、チャアは椰子の葉のクラフトと、 それぞれバリでやりたいことをすぐに見つけた。

四六時中、家族みんなでべったりくっついている必要はない。 それぞれがみな自分なりのアプローチで、バリ文化に触れられればいい。 今回は今までとはちょっと違った旅になる予感がした。

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