 
	日本時間で8時、セブ時間で7時ごろセブに到着、入国審査の列に並んだ。 フィリピンでは入国審査官や税関審査官までがチップやワイロを請求するというような話をいくつも読んでいたので緊張したが、 特に何も起こらず、ごく普通の入国審査であった。
それにトイレ。空港のトイレにはチップをぼったくるおばさんがいるという話もさんざ読んで恐怖していたが、 なんのことはない、誰もいなかった。
預けたボストンをバゲージクレームで受け取り、変わった様子はないか、これもチェック。 フィリピンでは空港係員が勝手に荷物を開けて金目の物を抜き取ることがあると聞いていたので、 ボストンのチャックにセロテープを貼って、開けられていたらすぐに分かるようにしておいたのだが、 セロテープはそのままの状態。 どうやら何事もなかったようだ。
	法外なチップを要求するというポーターの姿を見かけることもなく、税関でワイロを要求されることもなく、無事出場。
	出場する手前の両替屋でペソに替えようとしたら、出口の向こうの両替屋が看板を叩いて手招きしているのが見えた。
	目をこらすと「一万円=3700ペソ」という表示が見えた。手前の両替屋は一万円が3600ペソ。
	ひとたび出場してしまったら戻れないのでうさぎは一瞬躊躇したけれど、きりんは迷わずさっさと出場し、外の両替屋へ。
	きりんがそこで3万円を差し出すと、両替屋は電卓を取り出し、3700に3を掛け、11100ペソ分の札を手早く数えてみせると、
	きりんの手にそれを押し付けた。その素早い動きにうさぎはただただボーゼン。
	もしかしたらこっちがペソに不慣れなのをいいことに、ひと桁違っていたりして?‥と怪しんだが、数えてみたら、
	きっちり合っていた。  
	
	なーんだ! いい国じゃないの!
	あれこれ心配してソンした!
	
	空港ビルの外は、毎度お馴染みの現地係員のお出迎え。
	うさぎたちを待ち受けていたのは、メトロエクスプレスという現地手配会社の若い係員だった。
	いや、「若い」なんてもんじゃない。まだ少年といっていい年頃である。
	彼はうさぎたちの名前を確認すると、かわいい手提げに入った「HISオリジナルマンゴーセット」を渡してくれた。
	でもどうして3つしかないの? 
	4人分の大人料金を支払って参加してるんですけど。
	たかがマンゴー一つのことにこだわる自分が情けないけれど、なんだかすごーく損したような気分。
	でも、役目を終えてニコニコしている少年に、文句なんて言えるわけがない‥。