 
	デュシットはラグナエリアの総合開発が始まる以前に建てられた唯一のホテルである。 そして、ここは様々な点で、他の4ホテルとは違っていた。
その外観は木目調の落ち着いた雰囲気で、広い敷地も自然の林をそのまま生かしており、 どこかワビ、サビ的な懐かしさを感じる。 他のホテルのようにかっちりと作り込まず、素材を生かすところが、東洋を感じるゆえんかもしれない。
	船着場から客室のドアが並んだ廊下を通り、林、あずま屋のある沼の付近を通り抜けてプールサイドに出、
	そこからスイレンの花の咲くモスグリーンの池の間を通ると、やっとロビーに出た。
	他のホテルの船着場はロビーの近くに設置されているが、ここはまずホテルありきなので、
	船着場からの動線がいまいち計算されていないのだろう。
	尤も、ビーチ沿いに建てられているので、ラグーンはあってもなくてもいいのかもしれない。
	他のホテルがラグーンの景観を最大限に生かすよう設計されているのと対照的である。
	
	また、このホテルは「鎖国」状態である。
	ラグナエリアのホテルに宿泊している人は、他のホテルのプールも利用できる。
	それは部屋にある施設案内に書いてある。
	実際にどのホテルのプールでも、デッキチェアには様々なホテルのビーチタオルが掛かっている。
	
だが、デュシットのプールだけは例外。 プールサイドに並べられたデッキチェアのタオルは全てデュシットのマーク入り。 逆に、デュシットのビーチタオルは他のホテルでは見かけないのだった。
	プールサイドには「宿泊者以外はお断り」の注意書きがあったが、それでも
	「きっとこの看板はラグナエリアが整備される前のものだろう」と解釈し、午後子供たちを連れてきてはみた。
	だがやはりなんとなく落ち着かなくて、いくらも遊ばないうちにシェラトンのプールへと移動した。
	尤も、ネネたちにとっても、ここのプールは魅力に欠けたようだ。
	広いプールなのだが、深い部分が多く、子供向けではない。
	小さなウォータースライダーもあったが、今日は工事中で使えないのだった。