食卓の上の小さな仕事

洗濯物用ピンチハンガー

子どもの頃、かぼちゃの種が好物でした。 殻を割っては一粒食べ、割っては食べ、 「面倒くさがり屋さんが、好きねえ」などと母にからかわれながら、 せっせと手を動かしては口に運んでいたものです。

冬にはよく、こたつの上がみかんの皮だらけになりました。 剥きながら食べることでリズムが生まれ、食欲に弾みがつくのでしょうか。

皮剥きに限らず、自分でひと手間かけることにより、美味しさが増すのはよくあること。 たとえば紅茶にいれるミルクや砂糖には、 自分仕様のカスタマイズに留まらず、 これから一息つこうとするときの、一種の儀式のような意味合いがあるように思えます。

そばつゆに薬味を入れるのも、とんかつにソースをかけるのも納豆を捏ねるのも、みんなそうした儀式。 食事をする楽しさというのは案外こうしたささやかな儀式的作業にあるのかもしれません。

たとえば、料理を大皿に盛ってめいめいが自分で料理を取り分けるようにしたり、 薬味を別の小さな器に添えたり、ドレッシングやソースを何種類か用意したり。 一人一人がそれぞれ自分で最後の仕上げをする仕掛けをひとつふたつ作っておくと、 ますます食事は楽しくなります。

こうした楽しい仕事に関しては、子どもになるべく手を貸さない。 年をとっても、なるべく人の手を借りない。 食事は人生最大の楽しみ、 人それぞれできる範囲で自分の食にかかわることが、生きる活力に繋がると思うからです。

初稿:2007年7月5日

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