奥行きを間口に変える方法

扉裏の利用法

むかし京都の町屋は、敷地の広さではなく、通りに面した間口に応じて税金がかけられました。 土地以上に間口が貴重であったことが窺えます。

前回、収納は奥行きより間口が大事と書きましたが、 そうは言っても広い間口というのは深い奥行き以上に確保するのが難しく、 そうそうおあつらえ向きの空間が転がっているわけもありません。

そこで今回は、今ある収納スペースをそのまま活かし、 「間口だけ増やす」方法を考えてみることにしましょう。

まずひとつは、『引き出し』の利用です。 「なーんだ」という声が聞こえてきそうですが、実はこれは見事な離れ業。 縦の空間を横にスライスして引き出すことにより、 「奥行き」をそのまま「間口」に変えてしまおうというのですから。

二つ目は『扉面』を利用することです。 クローゼットの扉の裏面に棚をびっしり取り付けたとすると、 その収納の実質間口は、倍になります。 もし扉の表面も同じように活用したとすると、実質間口はなんと3倍にもなります。 こちらは奥行きのスライスですね。

どちらの手法も、お手本は冷蔵庫です。 引き出しや扉裏を利用することで、 冷蔵庫は狭い間口を実質的に広げ、奥行きを減らして中のものを取り出しやすくしています。 冷蔵庫の扉にメモを貼るのもそのひとつの活用法。 そうした手法を他の収納にも取り入れればよいのです。

初稿:2007年8月23日

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