和食器の揃え方――「個」にこだわる

和の食卓

最近、陶器市を物色する楽しみを覚えました。 日本人は器好き。 茶碗や汁椀など手で持ち上げて使うことが多いので、器と人との距離が近いのでしょう。 陶器市はいつも大賑わいです。

小さなテントの片隅に、ハンパものの安価な茶碗を見つけたときの喜びといったらありません。 日本の器は基本的に個人持ち。 自分だけの「マイ茶碗」が嬉しい。 だから同じものをいくつも揃えず、ひとつだけ、買います。

柄の違いなど気に留めず、 陶器、磁器、漆器、ガラス、竹籠など、バラエティ豊かな素材を 自由に取り合わせ、そこに生まれる偶然の調和を楽しむのが、和の食卓の醍醐味です。

同じ柄で揃える必要がないから、和食器選びは気楽です。 偶然生まれた器を偶然手にとり、 一つ、また一つと、気まぐれに買えるその気安さが嬉しい。

ただ問題なのは、こうした「一期一会」が世の中にはゴロゴロしていること。 ややもすれば食器が際限なく増えてしまいます。

そこで一つ、ルールを決めました。 それは、「手で見て買う」こと。 必ず現物を手にとり、とっくり返しひっくり返し、大きさ、重さ、手への馴染み具合を吟味します。

本当は、通販やネットショッピングの誘惑も大きいのですけれどね。 現物に触れられないものは、絵に描いたモチ。 そう思って諦めることにしています。

初稿:2007年9月6日

<<<   index   >>>