2004年11月17日 みかんの経済学

今年は天変地異の影響か、野菜が高い。 そのせいなのかどうか、昨年100円だった1ネットのみかんが、今年は200円から始まりました。 それでも果物好きな我が家、無理をして買っていたのですが、 一週間ほど前、ついにこれが1ネット300円に‥! さすがに300円では手が出ず、数日間、指をくわえて果物屋さんの前を通り過ぎるより他はありませんでした。

でもねえ、やっぱりみかんが食べた〜い!
なんとか買って食べる口実はないかと考えて思いついたのが、この実験であります。 食べ物という実利のほかに「実験材料」という名目がつくと、なんとなく1ネット300円でも、 言い訳がつくような気がしちゃって。

実は前々から疑問に思っていたのですよね。 いつも行く果物屋さんでは、SサイズとMサイズとLサイズのみかんがどれもたいてい1ネットにつき 同じ値段で売られているのだけれど、どれが一番トクなのかなあ、って。 "量"より"数"を食べたほうが満足度が高いんじゃあないかと思い、 今までは、1ネットに入っている数の多いSサイズばかり買っていましたが、 もしかしたら、MサイズやLサイズのほうが、量的にはお得なんじゃあないか。 特に今年、一時期野菜がものすごく高かった頃、 1ネット200円のみかんでビタミンを補っていたことを考えると、やはり量も大事なんじゃあないか。 ‥そう思って取り掛かったのが、以下の実験なのです。

用意したもの

みかん キッチンスケール

  1. みかんSサイズ1ネット
  2. みかんMサイズ1ネット
  3. みかんLサイズ1ネット
  4. キッチンスケール
  5. 耐水性のマーカー

下準備

番号を振ったところ

  1. ネットからみかんを出し、右図のようにマジックで一つ一つに番号を振った。 S、M、Lはそれぞれ12個、10個、8個あったので、S1〜S12、M1〜M10、L1〜L8 (右写真参照)という番号がついた。
  2. 広告の裏に表を書き、キッチンスケールで全てのみかんの重さを一つづつ量って記入。
  3. みかんを食べる際には、必ず外皮を剥いてはかりで重さを量って表に記入してから食べるよう、家族全員に通達。
  4. みかんを食べる際にはなるべくママにもひと房取り分け、食べ終わったら味の評価を表に記入するよう、これも通達。

予想

全体の質量はほぼ体積(半径の3乗)に比例し、外皮の重さは若干、表面積(半径の2乗)の比例値寄りに なるのではないだろうか。 この考え方でいくと、半径が大きくなるほど外皮の比率は低くなるので、 全体の重量が同じであれば、可食部分(外皮を除いた部分)の質量は、Lサイズが最も大きいような気がする。

実験経過

1日目:
夕方に実験を始めたにもかかわらず、30個のうち、半分近い13個を消化。 そのうち5〜6個はチャアのお腹へ。 なぜかM、Lサイズの減りが早い。
2日目:
更に13個を消化。残りが4つとなった。Mサイズが人気で、すでに完食。 残りの4つはSサイズ3つ、Lサイズ1つ。 Lは、一つ美味しくないのにあたり、イメージダウン。
3日目:
最後の4つを完食。

結果

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 total
全体の重さ 81 70 85 85 89 79 73 87 73 80 84 82 968
可食部分の重さ 65 51 71 70 73 63 53 68 57 66 68 66 771
外皮の重さ 16 19 14 15 16 16 20 19 16 14 16 16 200
 
全体の重さ 125 104 122 105 103 114 104 126 100 114     1119
可食部分の重さ 101 84 96 84 82 92 86 100 83 91     899
外皮の重さ 24 20 26 21 21 22 18 26 17 25     220
     
全体の重さ 120 139 146 125 142 162 149 133         1116
可食部分の重さ 87 109 112 94 111 130 114 101         858
外皮の重さ 33 30 34 31 31 32 35 32         258
×          

味の基準:  ○:甘くておいしい、△:すっぱい、×:まずい
外皮の比率(外皮の重さ÷全体の重さ×100):  S:20.36%、M:19.52%、L:23.12%

考察

見事に予想が外れ、Lサイズの外皮比率は3つの中で最も大きく(可食部分の比率が最も小さい)、 Sと僅差でMサイズが最もお得という結果となった。

Mサイズは総重量でも一番重く、今回最もお得であった。 上記の表より、Sサイズは70g以上、Mは100g以上、Lは120g以上という目安があると察せられるが、 Mサイズの中にも120g以上の目方があるものが少なからずあり、それもお得に感じた。

ただ、Sサイズには二重丸をつけてもいいと思えるくらい味の良いものがいくつかあったことから、 数の多いSサイズも依然として捨てきれない。

Lサイズのみかんは外皮を剥くときの手触りからして皮が分厚く、数値を見る前から、 なんとなく歩留まりの悪さが予想された。 が、大きいものでは160gも目方のある個体もあるため、総重量の大きいネットを 上手に選べばそれなりにお得かもしれない。

また、ネネとチャアとうさぎの3人はみかんの内皮を食べるが、きりんは内皮を残す。 きりんの習慣で考えるならば、内皮の重さも量り、可食部分の重量から除く必要がある。 更に、唯一きりんは、甘いみかんの好きな3人とは異なり、すっぱいみかんが好みなので、 彼の基準からすれば、○をすっぱいみかん、△を甘いみかんとせねばならない。

ともあれ、たまたまなのか、必然なのか、今回は総重量にも少なからず差があったので、 上記の結果だけで判断するのは危険である。 たとえみかんが1ネット300円であろうとも、今後もみかんを買い続け、 実験を継続することが望ましい。

もう一つ予想外であったのは、重量を量るという手間により、皆がみかんを食べるのを控えるだろうという 予測が外れたことである。 チャアなどは、実験を面白がっているのか、早く結果が知りたいのか、 日頃にも増してすごい勢いでみかんを食べ続け、アッという間に30個のみかんがなくなってしまった。 2日半のみかん代が900円‥。 これは痛い。 この点に関して、実験方法改良の余地がある。