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	今は6月だが、ここは南半球。季節的には冬なので日が短く、7時の今はもう真っ暗だ。
	食事を求めてフラフラとやってきたメインプールからは、何本もの噴水がライトアップされて高く上がり、
	幻想的でとても美しかった。
	
うさぎたちはメインプールの脇に「モンゴリアンビュッフェ1人25ドル」と書かれた看板を見つけ、 オープンエアのここで夕食をとることにした。
	大きな鉄板で具を炒めてくれる料理人は最初一人しかおらず、その前に長蛇の列ができていた。
	うさぎが列に並んでいると、隣に並んだ白人の女性が真っ赤なスパイスをディナースプーン山盛りによそい、
	皿に盛った材料に掛けようとしているのが目に入った。
	「あっ、それは辛すぎる‥!」思わず息を飲んで、叫んだが、後の祭り。
	その瞬間に彼女はそれを料理に掛けてしまった。
	「『それはすごく辛いから、入れるんならほんのちょっとにしなさい』ってさっきここのスタッフが言ってましたよ」
	と言うと、彼女は
	「まあそうなの。教えてくれて有り難う」といいながら材料の上に乗っかったスパイスをスプーンで取り除き、
	空いてる皿の上に置いて、夫にも
	「これは辛いそうだからちょっとにしといた方がいいらしいわよ」と注意した。
	けれど夫はああそうかい、といいながら、無造作に掛けた。あーあ、火を吹くことにならなきゃいいけど‥。
	
	長い列に並んでやっと手にいれた炒め物は、うさぎがシーフードを沢山いれたガーリック醤油味、
	きりんが肉のたっぷり入ったソース味。
	具に焼きソバやウドンなど、めん類がなかったのと、ソースの選択肢が狭いのがちょっと残念。
	けれど、コンソメスープや果物、ケーキ類はおいしく、きりんはサワーサップとパッションフルーツに夢中になった。
	サワーサップはスポンジに甘い汁がしみこませてあるような果物で、
	パッションフルーツはキンカンとかすだちのような外見だが、半分に割ると、オレンジ色のトロトロの果肉の中に、
	黒っぽいツブツブの種が入っている。
	種が多いので、大して食べるところがないのだが、ライムのように爽やかなそのすっぱさが気に入ったらしい。
	うさぎはというと、ここでもノンアルコールカクテルに挑戦、手始めに「フィジアン・パンチ」を頼んでみた。
	運ばれてきたそれは、きれいな夕焼け色。様々な果物の果汁を混ぜ合わせてあり、複雑な味がした。
	大リゾートに様々な楽しみが詰まっているフィジアンみたいな、よくばりドリンクだ。