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	時折車が向こうからやってくるが、それも大した量ではない。
	ヤヌサ島を出る橋のたもとまで来ると、にこやかな守衛さんが遮断機を上げて通してくれた。
	
	さあて、ここからは外の世界である。
	アスファルトの橋を渡り、海岸線に沿って左へ行くと、そこは土埃の舞うデコボコ道であった。
	自転車はボロボロで、慣れないからこぎづらく、固くて細いサドルがお尻に痛い。
	おまけにうさぎは大きなバッグを脇に抱えているので左右のバランスが取りにくい。
	なんとなく「自転車には籠がついているもの」
	と思ってこんなバッグにカメラやらムヒやら水筒やらをどっさり詰めて持ってきたのだが、
	リュックにすればよかった。ジョッシュが「荷物を持ってあげようか?」と言ってくれたが、断った。
	カメラが入っているので自分で持ちたいのだ。
	
	デコボコ道をしばらく走っていると、
	「お尻が痛い」とチャアが文句を言いだした。
	「あたしの座るところなんか、後ろにかしいでいるんだよ!」とネネ。確かに。
	でもまあ、ちょっとの間だからガマンしてちょうだい。
	
デコボコ道から舗装されたクイーンズロードに入ると、そこかしこに子供の姿があった。 ちょうど今、小学校が引けたところらしい。 子供たちはみな制服を着込んでおり、男の子はグレーのズボン、女の子は鮮やかなピンクのワンピース姿だ。
	下校途中の子供たちはみなニコニコしながら「ブラ!」と声を掛けてきた。
	中には「コンニチハ!!」と言う子も。
	トロトロ走るオンボロスクールバスからも、
	バスの窓に鈴なりになった子供たちが「ブラ〜!」と声を掛けてきた。
	トラックの荷台にもやっぱり子供たちがたくさん乗っていて、「ブラ!!」の大合唱。
	こうして子供たちの歓待を受けながら2キロほど走り、我らが自転車部隊はフィジアンの住む村に到着したのである。