 
	ウェスティンのプールにほんの一時間も浸かると、「もっと面白いプールはないの?」とネネが言い出した。 ここはちょっと水が冷たいのと、わりと深いところが多いので、あまり子どもには向かないのかもしれない。
	でも大丈夫。ちゃんと次の手も用意してある。
	ハイアットリージェンシーやホテルヒルトンのプールを利用するという手を。
	アルパンビーチクラブの「タモンファンパッケージ」というのがそれ。
	これに入会すると、3日間、ハイアット、第一ホテル、ヒルトンそれにウェスティンの4ホテルのプールを利用できる。
	それにシュノーケリングや足漕ぎボートなどのビーチ遊びのアイテムも使える。価格は4人で入って$70。
	グアムにいられるのはもう今日と明日だけだけれど、それでもこの値段なら悪くない。
	ハイアットやヒルトンのプールが素晴らしいというウワサはかねがね旅行サイトで聞いているし。
	
	「タモンファンパッケージに入らないか?」と、ウェスティンのプール監視員のお兄さんにも勧誘されたけれど、
	とりあえずハイアットに行ってからにすることにした。
	ホテルのプール使用は裏ワザ的だとの情報もあったので、
	ハイアットのプールに入れることを確認してからの方がいいと思ったのだ。
	ハイアットはウェスティンの隣りの隣り。歩いても大したことはあるまい。
	ウェスティンホテルを出ると、うさぎたちはハイアットに向かって坂を下り始めた。
	
	ところがこれがとんだ間違いだった。花曇りだった空は、この頃からすっきりと晴れ上がり、
	うさぎたちを待っていたのは炎天下だったのだ。ひさしから出た瞬間、強い直射日光が容赦なく照り付けてきた。
	これはたまらない! うさぎたちは思わずセブンイレブンに逃げ込んだ。
	ちょうどお昼どき、まだ昼食を食べていないのを思い出し、セルフメイクホットドッグとスムージィを買ってレジに行くと、
	うさぎたちが手にビーチサンダルを持っているのに気付いた店番のおばさんが、余分にビニール袋をくれた。その袋には
	
"Thanks Heaven! Seven Eleven"(ああよかった、セブンイレブンだ)
と書いてあった。なんだか今の気分にぴったりなセリフ! なんかコンビニって宿場町みたいなんだよね。 こんな炎天下でなくても、冬の暗い夜道なんかでも、コンビニの明かりが見えると、ほっとするもの。
	セブンイレブンの前のベンチで腹ごしらえを済ませたら、さあ出発。
	けれど、ハイアットは遠かった。ほんの7〜8分坂を下るだけなのに。
	途中にホテルロードに沿って長い専門店街「ザ・プラザ」があり、その中を通って涼んでいったけれど、
	それでもハイアットは遠かった。ハイアットの門からロビーに入るまででさえ、なんて遠いのだろうと思った。
	
ようやくハイアットのロビーに着くと、きりんがふらふらとトイレへ消えた。 そしてしばらくして帰ってくると、プールのデッキチェアに倒れこみ、そのまま眠ってしまった。