スペイン語

西検4級体験記

 2012年10月、スペイン語技能検定4級を受検しました。無事合格しましたが、点数などは出ないようです。

 合否を抜きにして、受けること自体がとても楽しい検定でした。 他の外国語検定にはない楽しさがあったので、その楽しさをご紹介したいと思います。

西検は、2021年に大幅にリニューアルされました。この体験記はリニューアル以前のものです。試験の内容、難易度等、現行の西検とはかなり違いがあることをご了承ください。

スペイン語検定は楽しい

 まずは、当日の会場の雰囲気をお伝えします。

 6級と一緒だった廊下では9割以上の受験者が学生さんと見られる若者で、仲間同士、和気あいあいと楽しそうでした。自分だけ場違いな気がしてちょっぴり不安に。でも4級の教室では2割くらい社会人(中年~初老)もいたので、ホッとしました。

 驚いたのは、教室ごとに二人いる試験官の双方がスペイン語ネイティヴだったこと。試験の指示も開始の合図も、すべてスペイン語でした。

 のっけからスペイン語でダーッとナチュラルスピードで説明があり、何を言っているのか全然わからなかった^^;。ジェスチャーつきで、「ママがおしりペンペンよ!」と言っていた気がするのですが(謎)、「カンニングしたらダメですよー」ということだったのかなあ?(全然違ってたらスミマセン;;)周囲の人々もわかっていなかったのか、ユーモアたっぷりに話してくれたにもかかわらず、みなシーンとしてました(笑)。

 でもまあ、指示がわからなくても、試験会場でやることといったら決まっているし、周りに合わせればいいので、大丈夫^^。「もう始めていいですよ」とか「出来た人は退場してもいいですよ」とか、そういう大事なことはゆっくり言ってくれましたし。

 リスニングも、なんと試験官の肉声!! しかもマイクすら使わない。かなり大きな教室なのですが、よく通る声で「うしろのほうの人、わたしの声、聞こえるー?」「Síーーー!」みたいな(笑)。

 ちなみにリスニングは、筆記試験開始から30分後くらいに始まりました。聞き取った質問に対する返答を3つの選択肢の中から選ぶ問題が4題。リスニングの選択肢をあらかじめ読んでおきたい人は早めに読んでおいたほうがいいと思います。わたしはリスニングは60分の試験時間の最後だと思い込み、読んでいなかったので、突然リスニングが始まって焦りました^^;。

 でも問題は二度読まれるし、一度目は超ゆーーーーっくり。なのでとりあえず問題を全部書き取っておき、あとからゆっくり解きました。時間もまだたっぷりありましたし。

 リスニング問題は、聞き取り自体はラクですが、選ぶ返答は一ひねりあるので、ちょっと考える時間が必要。でも面白かったです。

 たとえば「¿Puedo subir al árbol?(木に登ってもいい?)」に対し、「はい、どうぞ」とか「ダメです」という選択肢はなく、たぶん答えは「Me da miedo que te caigas(落ちるんじゃないかと心配だわ)」。他の選択肢には「Lo que sube baja(登った者は必ず下る)」といった選択肢もあり、しっかり状況を想像しないと間違えそう~。

 筆記問題は、大問が4つ。

  • Ⅰ 文法問題8問 それぞれ3択で、正しい動詞の形に丸をつける
  • Ⅱ 語彙問題8問 4つの語彙の中でひとつだけ意味が異なるものに丸をつける
  • Ⅲ 動詞活用8問 与えられた動詞を文の状況にあてはまる命令法に活用する
  • Ⅳ 西文和訳4問 4文から成る小話を一文一文和訳する

 文法や語彙の問題はまあ普通でしたが、和訳は面白かった。全部つなげるとひとつの小話になっていて、こんな感じのあらすじでした。

 「ある男が映画館に犬を連れて入った。上映中、おとなしい犬を見ていた係員は驚き、帰りしなに言った。『おたくのワンちゃん、真剣に映画見てましたね。驚きました』。それに答えて男曰く『いや、わたしも驚きました。彼、原作は全然気に入ってなかったので』

 わはは・・・。このオチの可笑しさがわかる方、あなたもスペイン語検定向きです!(笑)

 ・・・こんな感じで、とても楽しい試験でした。

 試験だからって、堅苦しくやらなくちゃいけない、なんてこと、ないですよね。試験が楽しかったので、スペイン語がますます好きになっちゃいました。明るくておおらかな感じがいいなあ、と思いました。

 ちなみに、試験時間はリスニングを合わせても60分ですが、時間が足りなくなることはあまりないのでは、と思います。 わたしは20分でひととおり解き終わりましたし、 周りも早く終わったようで、退出可能時刻(開始から約40分後)の5分後には人数が半数くらいになっていました。

ピンチョス
ピンチョス

難易度について

 試験が終わった今、「なあんだ」というかんじで、実は「ひょっとしたら満点かも」という期待すらありますが、受ける前は不安でした。 なぜって、過去問題は今回よりずっと難しかったからです。

 それぞれ2年分の問題が1級から6級まで収められた西検過去問題集9集(2008年刊)と6集(1996年刊)を検定協会からしたのですが、6集の4級問題には、まったく歯が立ちませんでした。

 だってもう、西訳のオンパレード! しかも熟語を書かせる問題が別にあり、「ロケットを打ち上げる」とか「絶対多数を獲得する」とか「油田の炎上」とか・・・。そんなのばっかり毎回10題もあるんです!! そんなのスペイン語で書けって言われても、絶対無理っっっ!! 英検準1級を持っている英語ですら、ウーン、書けるかどうか怪しいものだ^^;。

 でも新しい9集の4級問題は6集よりはだいぶ易しく、「ああ、これならなんとか」と思いました。 それでも今回よりはだいぶ難しかったです。西訳もあるし(しかもけっこうヘビー)、それになぜか一回ごとに傾向がまるで違い、読解中心の回があるかと思えば、語彙問題ばっかりの回もあったりと、何が問われるのかわからない不安に襲われました。

 合格ラインはわかりませんが、問題の難易度という意味では、1996年当時の4級は、今(2012年)の3級レベルだったのでは?と思います。 その後、だんだん易しくなって、今に至るのでは。

 それなら今はどの程度難しいか、ですが、ある資格試験サイトによれば、スペイン語技能検定の合格率は「4級:70%~75%」とのことです。ほかの資格試験サイトを見ても、だいたい70%という数字が挙げられています。つまり10人のうち7人は受かるらしい^^。

 また、検定協会によれば「6級は英検の4級、3級は英検の準1級に相当」とのことです。それから類推すると4級は中とって準2級か2級くらい? 受けた感触的にも、まあだいたいそんなものでしたかね・・・。

 語彙はけっこう難しいものがちょこちょこ混ざっていて(わたしにとっては)「frenar(ブレーキをかける)」とか「vacilación(躊躇)」なんて単語、わたしはここで初めて見たかも?な感じでした。 選択式なので、他の3つを知っていれば困りはしませんが、ちょっとドキッとしました。ちなみに過去問の9集には4級の出題基準として「語彙2500語」と書かれています。

スペイン語技能検定4級直前対策問題

 検定協会から直接購入した西検過去問題集2冊のほかに、 南雲堂フェニックス社の「スペイン語技能検定4級直前対策問題」も購入しました。 これはすごーく良かった!!

 もっと早くからこの本の存在を知っていれば、検定協会から西検過去問題集を取り寄せることもなかったのに・・・ (si + 接続法過去完了, 過去未来完了(笑))。

 この本の存在を知らなかったがために、CDもついていない、解説もついていないような過去問題集を二冊も、わざわざ現金書留(※ なんといまどき振込み不可)で購入。 わざわざお金を払って不安を買ったかのよう・・・とほほ(como si + 接続法過去(笑))。

 いやホント、この本はオススメです。 問題形式も難易度も今回の問題と似ていたので、本番、慌てずにすみました。

 また、文法問題なんて、接続法を使う場合と直説法を使う場合の違いがよくわからず、始めた当初はボロボロだったのに、 これでたくさーん問題をこなしたら、問題ができるようになっただけでなく、接続法の発想というか、直接法との違いというか、そんな感じのことがちょっとわかってきた気がします。

 西検4級問題集は白水社のを一冊、南雲堂の別のをもう一冊やりましたが、 いずれも最近の問題形式とマッチしておらず、西訳など、難しめでした。 4級のかなめである接続法についても、接続法の活用練習が多く、実際に出る「そこは接続法なのか直接法なのか」を問う問題が少ないのが寂しい。

 ・・・というわけで、わたし的には「スペイン語技能検定4級直前対策問題」がダントツお勧め。 模試形式になっていますが、問題の量が本番よりも多いので、これができれば、本番もできるのでは。

 ここ1、2年、4級はおおよそ今回のような形式におちついているようなので、 これ一冊やれば、過去問題集なんて、ぜーんぜん買う必要ないと思います!(←話の要点はココ!(笑))

パエリア

これまでしてきたこと

 検定試験とは直接関係ありませんが、参考までに、これまでわたしがスペイン語に関してしてきたことを書きます。

 わたしがスペイン語を始めたのは、検定試験の約半年前、3月の終わりごろです。宮崎駿アニメのハイジが見たくてネットで検索したら、you tubeでスペイン語版が見つかり、見始めたのが最初です。

 最初はハイジが見たくて始めたのですが、挨拶など何度も繰り返されるフレーズを聞くうちにスペイン語に興味がわき、ノートに聞き取れたフレーズを書き留めることにしました。

 当時スペイン語はまったく初めて。でもハイジの原作を読んだことがあり、あらすじを知っていたこと、 スペイン語の発音は聞き取りやすいこと、文法は、学んだことのあるフランス語に似ていることに助けられ、あとは辞書でスペルを確認し、意味がわかるフレーズのみノートに書きました。

 ハイジは一回30分。コマーシャルやテーマソングを除くと正味20分。これを約一月かけて52話分見ました。

Sapo y Sepo son amigos

 その後、Sapo y Sepoシリーズ(全部で4冊)をスペイン語で読みました。「がまくんとかえるくん」ってご存知ですか? そのスペイン語版です。

 わたしはこの本が大好きで、日本語のほかに、英語、フランス語、ドイツ語で読んだことがあります。内容をよく知っている本だったため、辞書をひく必要がなくてラクでした。全部で20話あるので、毎日一話ずつ、20日かけて読みました(一日10分程度)。

 Sapo y Sepoを読み終えたあとは、2ヵ月くらいスペイン語はご無沙汰でしたが、7月に再開し、 10月までにスペイン語の入門書を30冊以上、スペイン語の簡単な物語を20冊くらい読みました。

 入門書というのは実は日本語の部分が大半なので、スペイン語の部分だけ読む分にはそんなに時間は食いません。薄い本なら1時間で読み終えられる場合も。物語も、1時間以内に読み終えられるものばかり探して読みました。

 読んだ本は読書録としてだいたい次のページにまとめてあります。スペイン語読書録(入門書編)スペイン語読書録(読みもの編)

 問題集も何冊かやりました(詳しくは「スペイン語読書録(問題集など)」を参照)。

しっかり身につくスペイン語トレーニングブック

 特に良かったのは 「しっかり身につくスペイン語トレーニングブック」。 題名どおりしっかり身につく感じ。 丸つけを含めると約20時間かかりましたが、これを終えたら、直説法現在から接続法過去完了までの動詞活用が怖くなくなりました。

 同じ著者の本で、「しっかり学ぶスペイン語」というのも良かったです(名前が紛らわしい^^;)。 こちらは直接法現在形・点過去・線過去のみで、10時間くらいで終えられました。

 あとスペイン語リスニングはイラストなどを使った問題が多く、ゲーム感覚で楽しかったです。 所要時間は7時間くらい。

 9月からは毎日50分間、Spanisimoでスペイン語のスカイプレッスンを始めました。 検定までに40回以上のレッスンを受けました。 宿題も出るので、予復習を含め、ワンレッスンにつき1時間くらいの自習が必要ですが、とても楽しいです^^。

 あとは単語帳や動詞活用表を作ったり、 やりたいこと、いいと思えることを、ちょこちょこいろいろやりました。

 時計で計っていたわけではないので概算ですが、あれやこれやを合算すると、検定試験までに、だいたい400時間くらいはスペイン語に触れたのでは、と思っています。 学習量の目安として参考にしていただければ幸いです。

※ 西検の20日後、DELE A2も受けました。

※ 2013年、西検3級にも合格しました。

※ 2014年、通訳案内士にも合格しました。

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