スペイン語

西検3級体験記(一次試験編)

 2013年6月、スペイン語技能検定3級(一次)を受検し、合格しました。4級のときもそうでしたが、今回もとにかく楽しい検定でした。 受けてよかったです。

 このページでは一次試験についてのみ書きます。二次試験については以下のページに書きます。

西検は、2021年に大幅にリニューアルされました。この体験記はリニューアル以前のものです。試験の内容、難易度等、現行の西検とはかなり違いがあることをご了承ください。

スペイン語検定は楽しい

 まずは、当日の様子から。

 会場は、日吉の慶応義塾大学でした。ここは独検・仏検でも受けに来たことがあるし、駅の目の前なので、まさか道に迷うとは思わず、安心していました。

 ところが迷った!! 大学構内で。会場は「第四校舎独立館」という建物のはず。ところが、受験票に書いてある通りに進んだはずなのに、その建物に行き着けない。

 周囲を見回すと、同じ受験票を手にした人が何人もあっちこっち右往左往している。そのうちの一人に声をかけ、一緒に探しましたが、やっぱりわからず。これは振り出しに戻ったほうがよかろうと、門まで戻り、守衛さんに道を尋ねました。

 そしたらなんと!! ・・・地図が間違っていた・・・。受験票に貼ってある地図が。

 なんとそこは、大学構内からはいかれない棟だったのです。道理で「独立棟」という名がついてたわけだわ(笑)。

 無事会場を見つけると、わたしはヤレ一安心と会場に入りましたが、一緒に来た若者は「まだ迷っている人がいたから」と、他の迷子受験者を救済しに今来た道をまた戻って行きました。なんて親切なんだ!!

 スペイン語検定っていうのは、そういう人が受ける検定なんです(・・・て、違うか(笑))。

 まあ、今回は時間ギリギリではなかったからよかったようなものの、これがもし遅刻寸前だったら相当パニクったと思うので、検定協会にはしっかりしていただきたいものです。

 でもそんな不手際も、相手がスペイン語検定だと許せてしまう(笑)。

 スペイン語検定って、問題用紙は回収されてしまうし、結果が出るのは遅いし、過去問やデータの公表はないし、結果は合否のみで点数などは出ないしで、欠点だらけの検定なんです。

 おまけに会場の地図は間違っているときてる。点数をつけたら、わたしが受けた6つの語学検定中、ぶっちぎりでワースト一位です(ブービー賞はインドネシア語検定)。

 でも、他の語学検定にはない魅力があって、憎めない。点数化できない部分の評価が高いんです(わたしの中で)。

 たとえば今回も試験官は全員スペイン語ネイティヴ(5、6人はいたような)で、日本人とは違った柔軟さがありました。

 まず驚いたのが「携帯の電源はなるべく切ってくださいね~」と言っていたこと。おもわず「なるべく?」と声に出してツッコんでしまった^^;。 その声が聞こえたのか、「だって、今の世の中、携帯が命、って人もいるでしょう? だからなるべくでいいです」と言うので、笑ってしまった。

 「さあ、いちおう辞書などをしまってくださいね~」とも。「いちおう?」と、今度は心の中でツッコミを入れると、「どうせ辞書なんか引くヒマないと思うけど、いちおう決まりなので」と(笑)。

 「あ、飲み物は机の上に出しておいていいですよ~。他の人にかけたりしなければ。 他の人にかけたら服のクリーニング代がかかるわよー」といった調子。受験生を笑わせよう、リラックスさせようと一生懸命なのが分かり、楽しかった~。

 今回は5級と教室が一緒で、その説明はほとんど日本語でしたが、5級受験者はノリが悪く、何を言ってもウンともスンとも反応がないので、試験官にからかわれていました。

 一方、教室の前のほうにかためられた3級受験者はノリが良く、よく笑う。さすが3級受験者、スペイン語のみならず、ラテンのノリまで学んでしまっているとは(笑)。

 ちなみに、受験番号から推測するに、3級は申込者が44人、5級は77人。ところどころ欠席の様子でしたが。3級は、半数以上はやはり若者でしたが、定年後の男性の姿もチラホラ。5級より平均年齢がかなり高そうでした。

試験の内容について

 今回の試験の内容は、こんな感じでした。

 まず、時間は90分。 設問の量からして時間は充分でした。 60分もしないうちに退出した人が、わたしの周り6、7人のうち2人いました。 ちなみにリスニングはありませんでした。

 問題はB4のプリント一枚で、その紙に答えを書き込んでいく形でした。 紙の左半分が和訳、右半分が西作(作文)というシンプルさ。

 和訳は5問のうち1問が熟語の和訳(5題)、あとの4問は短い文章の和訳、西作は5問すべてが文章でした。

 文章の難易度は、和訳・西作、ほぼ同程度。 それゆえ、和訳のほうが簡単に感じました。

 但し、熟語の和訳(5題)以外は。 これはもう、全然分からなくてズタボロ。

  1. crema de guisante
  2. ¿tienen reserva?
  3. lengua preferida
  4. denominación actual
  5. vino y amigo, el más antiguo

 たぶん、合ってるのは2問目だけ。あとは全滅;;

 他の和訳は、アバウトに要約すると

  1. 「生け花は型を学ぶといい、その型が自然の精神を伝えるのだから」
  2. 上記熟語の和訳(5題)
  3. 「考古学上の発掘品により、古代の文化が分かる」
  4. 「警察がヘリに装備した新型レーダーの性能について」
  5. ・・・?? スミマセン、失念;;

・・・って感じ。

 西訳はざっくばらんに言えば、

  1. 「みんなおかっぱなのに、彼女だけ長い髪。それは母親の好み」
  2. 「砂漠では、灼熱の太陽を避けるために、動物は砂の下の巣に潜む」
  3. 「スペイン語と日本の出会いは、宣教師の渡来にさかのぼる」
  4. 「市町村の人口は40年前からゆるやかな減少傾向にある」
  5. 「大気圏に突入した岩のほとんどは、地表に到達する前にくだけてしまう」

というような内容(más o menos^^;)。

 和訳は、文章だと知らない単語があってもある程度推測できるからラクですね。 熟語だと推測が効かないからボロが出る^^;。 西訳は、書けない単語は、知ってる単語で代用して逃げました。

 たとえば「巣」にあたる単語を思いつかなかったので、”refugio”(避難所)という単語で代用しました。 「宣教師」は”los monjes que intentaban propagar el espíritu católico”(カトリックの精神を広めようとしていた修道僧たち)と説明して逃げました^^;。

 「岩」も最初思い出せなくて”piedras gigantes”(巨大な石)で逃げたのですが、あとから”rocas”(岩)を無事に思い出し、一件落着。

 ところがこれが思い出せたことでヘンな自信をつけ、「破片」も思い出したつもりで自信たっぷりに”fracón”と書いたのですが、実際は”fracción”だった(汗)。 つまらない自信は怪我のもと。 最初に書いたとおり、”unos partes pequeños”あたりで逃げておくんでした。

 とにかく文章に穴を開けないよう、知らない単語があっても自分の語彙で代用し、多少表現が違っても、日本語の内容が伝わるよう、心がけました。 どっかで読んだんですよね。そうしたほうがいい、って。 それもあちこちで。 自分も納得がいったので、そうしました。

 まあ結果的に受かったので、そうして正解だったのでしょう。 何事も結果オーライ、ってことで(笑)。

 熟語の和訳が極端に出来なかったので、ここの配点が高かったら合格は無理、と覚悟していましたが、 受かったところを見ると、配点は低いようです。 和訳が五問、西訳が五問あったので、一問につき10点、 熟語は「五題で一問」、つまり一題2点、全部で10点という勘定だったのでは、と勝手に推測しています。

検定に向けてやったこと

 2012年9月から、スペイン語のオンラインレッスンを毎日一度、約50分受けていました(スパニッシモ体験記参照)。 検定試験のため、ってわけでもありませんが、この日々のレッスンが、わたしのスペイン語学習の一番の柱でした。

 最初のうちは熱心に、予復習を欠かしませんでしたが、年が変わったあたりからだらけ始め、試験前後あたりは予習も復習もほとんどやらなくなっていました。 分からない単語は先生に聞けばいいや~って感じで、予め辞書も引かない。 レッスンを受けたあとも受けっぱなしで、復習しない。 これじゃいけない、とは思いつつ、そんな状況でした。

 ただ、朝レッスンを受けると、一日中スペイン語が身近にある感じで、ふとした拍子にスペイン語でものを考えたりしていました。


 検定対策も、本当は2ヶ月くらい前からみっちりやる予定だったのに、なんだかんだで忙しく、なかなかエンジンがかかりませんでした。 いちおう「これだけは」と思ったことはやりましたが、それはずいぶんと下方修正されたあとのノルマで、もう少し真面目に取り組むべきだったと反省しています。

 具体的には、過去問を8回分と、問題集を4冊やった程度です。

 過去問は、4級受験のときに検定協会から直接購入し(いまどき現金封筒で送金(笑))、家にあったから 3級の部分のみ、やってみたものです。1996年刊の6集と2008年刊の9集の2冊持っていますが、昔と今とではだいぶ難易度も問題傾向も違うので、時間配分の決定や、合否を占う参考にはなりませんでした。

 ちなみに以下で触れる「スペイン語検定対策3級問題集」にも、 西検過去問題集6集(1996年刊)の問題が多数再録されています。


 市販の問題集で使ったのは、以下の4冊です。

  1. 解説がくわしいスペイン語の作文(2009年刊)
  2. スペイン語技能検定合格への手引き―1級・2級・3級対策問題集(2006年刊)
  3. スペイン語作文の方法 構文編(2002年刊)
  4. スペイン語検定対策3級問題集(2011年刊)

 1番目の「解説がくわしいスペイン語の作文」は、 3級対策にするには、文章が簡単すぎますが、簡単な文章でも正確に書くのは案外難しいものだと分かりました。 良いウォーミングアップになったと思います。 書き込み式になっていて、ほどよい問題量。10時間くらいでサクッと終わらせることができました。

 2番目の「スペイン語技能検定合格への手引き―1級・2級・3級対策問題集」は、 共通部分と3級部分しかやらなかったので、これもたしか5、6時間程度で終わらせられました。 4-6級編は実際の試験に比して難易度高すぎと感じましたが、3級に関しては、適切な難易度と感じました。

スペイン語作文の方法 構文編

 3番目の「スペイン語作文の方法 構文編」は問題量が膨大。 単元が165もあり、それぞれの単元には例文が一つと、問題が3題ずつあるという、怒涛の問題集です。 問題だけで500問!! 一通り終わらせるのに、50時間くらいかかりました。

 語彙が3級とかなりかぶっており、何度も同じ単語を書かせるので、政治・経済関連のよく使われる語彙が書けるようになりました。 構文もそうですが、語彙の観点でも、大変役立ちました。

 このテキストは、何度も繰り返しやったほうがいいですね。 なにしろ膨大な量の構文が次から次へと出てくるものだから、やってるときはわかったような気になっていても、 しばらくすると、何がなんだか分からなくなってくる。 ・・・と思いつつ、一度やってそれっきりですが(汗)。

スペイン語検定対策3級問題集

 4番目(最後)の「スペイン語検定対策3級問題集」は、 和訳と作文に分かれていて、和訳は1回、作文は2度やりました。 これも一周10時間ちょっとだったと思います。 3級に特化した対策問題集なので無駄がなく、ページ数の割に高い気はしましたが、買って良かったです。

 問題傾向も難易度も適切だったと思います。 和訳は問題により、解答例が3つ用意されているのもよかったと思います。


問題集のコピー

 問題集はいずれも全ページ見開きでコピーをとり、右側をホッチキスでとめて横長に開き、前ページの白い裏に答えを書き込んで使いました。 こうすれば、コピーの裏の白い部分も無駄なく活用できるし、別にノートを用意する必要もありませんから。 左利きの方は、左側をホッチキスで止めたほうが便利だと思います。

 西作は自分では答え合わせが難しいので、スパニッシモの先生に添削してもらっていました。 もしスパニッシモをやっていなかったとしたら、 ランゲート(Lang-8)を利用していたかなと思います。

 模範解答とあまりに違っていたりすると不安で、自分の答えと一緒に模範解答も見てもらいましたが、 「うん、意味おんなじ」とサックリいわれることが多かったです。「文の形が違ってたって、結局同じことが言えてりゃいいんじゃないの?」とどの先生もみな異口同音に言うので、それがスペイン語ネイティブの感覚かと(笑)。

 ここは間違っているだろうと思う箇所は意外と直されず、思ってもみないようなところをよく直されました。たとえば、関係代名詞を二箇所くらい使ってある複雑な文で、副文の長い主語のあとに動詞を続けたら、「何度読んでも、さっぱり意味がわからない」と言われました。ふと気づいて、動詞と主語の順番を入れ替えたら、いきなり「カンペキ!!」と言われてビックリ。スペイン語の場合、動詞で終わる文は嫌われるようですが、まさか意味も通らないとは・・・。


 西検を受けてよかったことの一つは、読解力の大切さに気づけたことです。 3級は和訳と作文のみ。 長文読解は一問もないので、一見、読解力なんて関係なさげですが、これが大あり。 作文て、あんがい読解力の勝負なんですね。

 まあ、ボキャがある程度揃っていることが前提ではありますが、自分の持てるボキャをどう生かすかは、結局読解力にかかってくる。与えられた日本語の文章を自分なりに咀嚼し、自分の言葉で語りなおす必要があることに気づきました。

 作文のできるできないは、スペイン語以前の問題で、日本語を読み下す力なのかもしれません。

 たとえば今回出た「スペイン語と日本の出会いは、宣教師の渡来にさかのぼる」の西訳、これわたしは、よくよく意味も考えず「よしきた、ここは”proceder de”の出番だ~」と思ったのですが、あとから「日本がスペイン語を最初に知ったのは、宣教師が渡来したときである」と読み砕き “la primera vez que~”としたほうが素直だったかな、と反省しています。

 でもまあ、受かったのでよしとします。胸を借りるつもりで受けましたが、意外にもなんとかなって、よかったです。

 スペルミスや性の取り違い、ティルデの書き忘れ、ありもしない単語のでっち上げなど、細かいミスはけっこうありますが、合否が分からないうちから、そこそこ書けた感触はあったし、なにより楽しかった!!

 ちなみに、検定協会によれば「3級は英検の準1級に相当」だそうです。 噂では合格率も15%程度らしい。会場には今回が7回目の3級受験だといっていた人もいました。 すっかり試験官と仲良しで、スペイン語でペ~ラペラ喋ってました。

トレドの旧市街 フリー写真素材集よりお借りしました
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