今年の夏の行き先はモンゴル。羊毛のフェルトで覆われたゲルに泊まり、草原で馬に乗るんだ~♡
ついこの間フィンランドから帰ってきたばかりだし、今年は他の旅行の予定も立て込んでいるので、モンゴル旅行はまた来年にしようかとも思いましたが、結局今年行くことにしました。この年(60代)になると、できることはできるうちにやる、行かれるところは行かれるうちに行くのが吉。いつまで乗馬ができるような健康が保てるか、誰にも分からりませんからね。
風光明媚なテレルジ国立公園の民宿ツーリストゲルに宿泊予定です。泊まられた方々のレビューによれば、ホストさんは英語ができるけれど、他のスタッフはモンゴル語しか話せないとのこと。多言語学習者にとって、これほど美味しい状況が他にあるでしょうか? いやない(反語)。
ちょうどいい感じにフィンランド語にハマっているのに、ここでまた新しい言語とか、馬鹿なの?と自分でも思いますが、・・・うん、きっと馬鹿なんだと思う。やり始めたら早速ハマってしまいました! なにモンゴル語、めっちゃ面白いやん!
7月のモンゴル旅行まではモンゴル語を優先させ、フィンランド語は復習のみ(毎日15~20分程度のDuolingoのデイリーリフレッシュ)と決め、ひと月経ちました。ちょうど白水社の「モンゴル語のしくみ」を読み終えたところです。
モンゴル語ってどんな言語?
膠着語と母音調和
フィンランド語からモンゴル語へといきなり舵を切ったわたしですが、フィンランド語とモンゴル語、実は数十年前までウラル・アルタイ語族ということでひとくくりにされていました。なんなら日本語もその中にカウントされていた。
現在ではウラル語族とアルタイ諸語に分けて考えられ、フィンランド語はウラル語族フィン・ウゴル語派、モンゴル語はアルタイ諸語モンゴル語族の一つに分類されていますが、全く似ていないかというと、実はそうでもない。どちらもちょっとトルコ語(アルタイ諸語テュルク語族)に似ています。
たとえばこの三言語はどれも膠着語。膠着語というのは、名詞や動詞の後ろに接尾辞をつけていく言語のこと。日本語もその一つ。
それから日本語にはない母音調和。一つの単語を似た口の動きをする母音のみで構成することで、単語によって接尾辞の発音も違ってくるので、学習者からするとちょっと厄介。初めてトルコ語でお目にかかったときは「面倒~!」と思いましたが、でも慣れるみたいで、フィンランド語やモンゴル語ではもうそんなに気にならない。むしろトルコ語の学習経験が活かせて得した気分です。これだから多言語学習は辞められない~!
モンゴル語にないもの
トルコ語やフィンランド語にあって、モンゴル語にないもの、それは動詞の人称活用です。人称活用を覚えるのって面倒じゃないですか。その努力がまるっと省けるのはありがたい。
日本語にも人称活用ってないじゃないですか。英語だと三単現の s とかあるし、ドイツ語やフランス語はもっと複雑。でもモンゴル語は日本語同様、わたしが行こうが、あなたが行こうが、彼が行こうが、「行く」は「行く」。モンゴル語の文法で何が嬉しいって、これが一番嬉しい特徴です。
あとBe動詞もない。「AはBです」と言うとき英語なら A is B 、フィンランド語でBe動詞を挟むけれど、モンゴル語はA Bだけでよい。トルコ語にもBe動詞はないけれど、AによってはBの後ろに語尾をつけなくてはならない。モンゴル語にはそれもない。
文字
モンゴル語で(わたしにとって)嬉しいことはまだあります。それはキリル文字で書くことです。つまりロシア語の学習経験が活かせる。モンゴル語の発音に合わせて作られた文字が ө と ү の二つありますが、それ以外はロシア語と同じ。
わたし、モンゴルってソビエト崩壊以後、モンゴル文字を使うようになったものと思っていたのです。縦書きの。でも勘違いだったみたい。モンゴル文字を使うのは中国のモンゴル自治区で、モンゴル国では書道などを除き、今でもキリル文字で書くみたいです。
それってちょっと残念なような、でもものすごくありがたい。残念さが1だとすると、ありがたさは100くらいで、圧倒的に有難い。初めて見る文字を覚えるところから始めるのでは、夏の旅行にはとても間に合わないから。
文字が読めて書けるって、すごいアドバンテージだなあと、テキストをノートに書き写していて感じました。耳のいいひとなら文字を介さずに聞いて覚えるのでしょうが、わたしには無理。どうしても書きながら理解しないと納得できない、覚えられない。
たぶん現地でも、文字を知っていることで、随分と気がラクなのではと想像しています。まず地名や店の看板などが読めますものね。
中にはスペルも全くそのままにロシア語から入ってきた単語があったりなんかして。たとえば кофе(コーヒー)、кино(映画)、театр(劇場)。いきなりウランバートルに降り立って、「ああ、ここ映画館なのね」って分かるってすごくないですかー?
発音
ロシア語やトルコ語の学習経験がまるっと生かせるモンゴル語。問題は発音です。一か月モンゴル語をかじってみた今のところ、発音が一番問題と感じています。具体的に言うと、
- 日本語の「オ」にあたる母音が У、О、Ө と3つある
- ロシア語と発音の違う文字がある
- Л(L)が Л(L)に聞こえない
ロシア語と発音が違う文字とは、具体的に言うと У です。ロシア語では У は /u/(ウ)と読むのに、モンゴル語では /o/(オ)と読み、モンゴル語で /u/(ウ)と読むのは Ү だというのが嫌。なんでそんな面倒くさいことになってしまったのだろう?
あと Й の発音も違う気がする。ロシア語では「イ」に近いけれど、モンゴル語は「エ」に近いことがある。
学習ツール
今後使う予定の学習ツールをここに纏めます。
入門書
入門書はわたしが知る限り4冊出ています。難易度順に並べました(下に行くほど難しい)。
- モンゴル語のしくみ(白水社)
- 新版 はじめてのモンゴル語(明日香出版社)
- 新装版 ゼロから話せるモンゴル語(三修社)
- ニューエクスプレスプラス モンゴル語(白水社)
二、三番目は今年4、5月に新装版が出たばかり。VIVANの影響でモンゴル語を学ぶ人が増え、それでテコ入れしているのでしょうか。
リスト一番目の「モンゴル語のしくみ」はすでに読了しましたが、しくみシリーズにしては、細かい文法までがっつり解説する本でした。ノートを取りながら読んだら丸々一か月かかってしまった💦
二番目の「はじめてのモンゴル語」は逆に、文法説明はほとんどなく、フレーズ集のような仕上がりです。「しくみ」を読んだ後、文法を推測しながら読むのにぴったり。
三、四番目はどちらも一課ごとにスキットがあって文法説明があって、というスタイル。いずれも全20課。「ゼロから話せるモンゴル語」のほうがスキットが短く、とっつきやすそう。
上から順に読んでいこうと思いましたが、三番目の「ゼロから話せるモンゴル語」が、「モンゴル語のしくみ」と著者が同じだからか読みやすいので、一番目の次は三番目を読むことにしました。


オンライン教材
残念ながらDuolingoもMondlyもモンゴル語はカバーしていないのですが、良いオンライン教材をいくつか見つけました。また見つけたらここに書き足していきます。
YouTubeチャンネル
東外大言語モジュール
iPhoneアプリ

DMM英会話
DMM英会話には2025年5月現在、モンゴル出身の講師は残念ながら在籍していません。以前は一人いたこともあったのですが。また戻ってきてくれたらいいなあ。
まとめ
とりあえず今のところ、こんな感じです。まだ右も左も分かりませんが、ロシア語やトルコ語の学習経験に助けられ、全く何もないところからモンゴル語を始めるよりは、これでもイージーモードなんじゃないかなと思っています。旅行まで2か月足らず。頑張ります!