カタルーニャ語

複数言語同時翻訳で遊んでみた

 スペイン旅行以来、スペイン語づいており、メキシコの先生と毎日のようにスペイン語で会話しています。

Duolingo カタルーニャ語コース

 先日、先生にDuolingoのことを教えたら、先生、その場でググり、「あれ、カタルーニャ語もある」と逆に教えてくれました。

 知らなかった。Duolingoにカタルーニャ語コースがあるなんて。

 気づかなかったのは、以下の理由からでしょう。

  1. カタルーニャ語に最近まで興味がなかったから
  2. スペイン語話者のためのコースだったから
  3. アプリではまだサポートされていないから

 人間、興味のないものには目がいかないようにできているらしい。それでもこれが英語話者のためのコースだったら、軽く気づくくらいのことはあったと思う。アプリでもまだ未サポートで、微妙に自分の行動範囲外だったから、気づかなかったのでしょう。

 一方先生はスペイン語話者だから、まずスペイン語話者のコースに目がいく。カタルーニャ語にも興味があるらしい。だからDuolingoのページを開いた途端、カタルーニャ語に目が行ったのでしょう。

 これだから人と話すって大事。同じものを見ても、目の行き場が違うから。

 それはともかく、早速、カタルーニャ語コースを始めました。ちょうど最近、英語話者のためのスペイン語コース、アラビア語話者のための英語コースをコンプリートしたところで、次は何やろうかな?と思っていたので。

 Duolingoでは、外国語を使って別の外国語を学ぶことを、laddering(ハシゴする)と呼びます。英語でladderingはいつものことですが、実はスペイン語を使ってのladderingは初めてです。

 昨日丸一日ハマり、基本フレーズや、基本的な文の成り立ちを学習しました。

 それで思ったんですが、Duolingoは似た言語間ほど効果が高い気がします。似ている言語間のほうが、細かい違いに意識を集中できるから。もし英語話者のためのカタルーニャ語コースがあったとしても、効果的にはスペイン語―カタルーニャ語コースには及ばないと思う。

 そもそも外国語習得って、近い言語からズレていくほうがラクかもしれませんね。

 日本人はいきなり英語という、ユーラシア大陸の逆端の言語をやらされるから辛い。でもたとえばスペイン語話者がカタルーニャ語、次にポルトガル語、イタリア語、英語、ドイツ語、ロシア語、ペルシャ語・・・などとズレていけば、その延長でアラビア語、トルコ語、中国語、日本語までズレていくのは比較的ラクなのかも?

スペイン語・カタルーニャ語・フランス語比較

 カタルーニャ語はスペイン語に似ていて、全く同じ語彙もたくさんありますが、スペイン語よりむしろフランス語に似ている場合もあります。

 たとえばカタルーニャ語で「チーズ」はformatge。スペイン語のquesoよりむしろフランス語のfromageに似ている。「リンゴ」も同様で、poma。スペイン語のmanzanaよりフランス語のpommeに近い。「食べる」はmenjarで、スペイン語のcomerよりフランス語のmangerに似ている。

 面白いのが食事で、カタルーニャ語で「朝食」はスペイン語の昼食(almuerzo)に似たesmorzar。なら「昼食」はなんだろうと思ったら、フランス語の夕食(dîner)に近いdinar。じゃあ「夕食」は?と思ったら、英語の夕食(supper)に似たsopar。

 「お願いします」という意味のSi us plau.も、フランス語のS’il vous plaît.と発想が同じ。

 「単語」という単語は、スペイン語だとpalabra。でもカタルーニャ語だと、paraula。似ているように見えるけど、よーく見ると、rとlの位置が逆。フランス語にも意味はずれるものの、paroleという単語があって、こちらのほうがスペルは似ている。じゃあイタリア語やポルトガル語はどうなんだろう、と思い、そういうのを一気に表示できる便利な翻訳サイトはないかと探しました。

 そしたら見つけたのがコレ↓

 これ、ロマンス諸語に限らず、世界の52言語の中から好きな言語を複数選び、翻訳結果を一気に表示することができます。たとえばこんな感じ:

 動作が軽くて、ストレスがなく、かなり楽しく使えそう!

 ただし訳語が各言語一つずつで、必ずしも自分が意図した翻訳が得られるとは限りません。たとえば上の表示結果では、フランス語の翻訳結果がヘン。

 でもちょっとしたコツである程度防げるようです。そのコツとは、名詞なら冠詞をつけること。冠詞をつけると名詞であることがはっきりするからか、翻訳機の混乱を防ぐことができる。ちなみに、いろいろ試したところ、定冠詞より不定冠詞のほうが良いようです。

 ほら、ご覧の通り↓
 

 動詞の原型を知りたいときは、英語で前にtoをつけて検索すると、思い通りの翻訳結果が得やすいようです。

 ・・・ほほう、やっぱりスペイン語のsalirにあたるのは、カタルーニャ語もフランス語同様、sortirなんですねえ。そうじゃないかと思ったわ。

 実はバルセロナで、sortida(出口)という標識をよく目にしたんです。語尾はスペイン語っぽいのに、語頭は何かフランス語っぽいので、元の動詞「出る」がフランス語と同じなのでは、とにらんでいました。

 面白いですね~! 元の動詞はフランス語と同じなのに、派生の仕方はスペイン語と同じ^^。

 ところで、カタルーニャ語にはちょっと珍しい性質があります。人称代名詞の所有格の前に、なんと定冠詞をつけること。

 たとえば「私のネコ」はスペイン語だとmi gata、でもカタルーニャ語だとla meva gata。「彼の馬」はスペイン語だとsu caballoだけれど、el seu cavall。「彼らの鍵」はles seves claus。

 面白っ! もしかして、「私のそのネコ」、「彼のその馬」みたいな感じなのかなー? それとも「この私のネコ」、「その彼の馬」って感じなんだろうか?? まだそういうところまでは分からないけれど。

 定冠詞と人称代名詞を両方一緒につける言語って初めてなので、興奮してしまいました。ただのフランス語、スペイン語のあいのこじゃないんですねえ。

 こういう言語の特徴を、誰かに言葉で教わるのではなく、たくさんの例文に触れることで、自分で発見できるのが、Duolingoのいいところ。思っても見ない法則性を自分で発見する楽しみがあります。

相互理解は可能か

 ところでスペイン語とロマンス諸語の差について、メヒコの先生(スペイン語ネイティブ)に尋ねてみたところ、

スペイン語国によって使われる単語は多少違うが、どこの国のスペイン語でも理解に支障はない
カタルーニャ語耳で聞いて90%以上理解できる
ポルトガル語70%~80%くらい理解できる。ブラジル人と互いに母語で話して会話が成立する
イタリア語ポルトガル語ほどスムーズではないが、イタリア人と互いに母語で話して会話が成立する
フランス語全く分からなくはないが、フランス人と互いに母語で話して会話を成立させるのは難しい

という感じだそうです。

 以前グアテマラの複数の先生相手に、ポルトガル語に関してのみ同じ質問を投げかけてみたことがありますが、理解度のパーセンテージは50%から80%くらいと、挙げる数字は個人差があるものの、スペイン語ネイティブであれば、ポルトガル語を全くやったことがなくても、ブラジル人と簡単な意思の疎通が図れる、という点でだいたい一致していました。

 ロマンス言語の比較が面白いので、複数言語同時翻訳を使いつつ、引き続きスペイン語―カタルーニャ語間で遊んでみようと思います。 

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