アラビア語

卒業生クラス復習5 他者になりきる

 卒業生クラス第七回目。今回の授業でわたしが感じたのは、他者になりきることの難しさと面白さです。自分とは違った人になりきって、違った角度からモノを見ることの難しさ、面白さ。

 たとえば。アメリカ人とおぼしき女性が日本に飛行機で飛んできて、英語を教えている絵があり、その文の説明として、先生が一例としてこんな文を挙げたときのこと。

 「私は、外国人に英語を教えようと思って、日本にやってきました」

 わたしは、この一文に違和感を覚えました。なんでこの人は、わざわざ外国人に英語を教えるのに、日本にやってくるんだろう?と。わたしが「外国人」と聞いて思い浮かべるのは、鼻が高かったり、肌が白かったり黒かったりする人のこと。そして、たいてい英語が話せる。どうしてそういう人たちにわざわざ英語を教えるんだろう?と思ったわけです。

 でも帰りの電車の中で気づいた。ここで言う「外国人」っていうのは「日本人以外」のことじゃなく、「アメリカ人以外」のことなんだ、って。この会話の話者は「アメリカ人女性」なのですから。金髪碧眼の彼女は、のっぺりした顔つきの、英語が話せない「外国人」に英語を教えようと思って、日本にやってきたのです。

 また、男性の役を、本来は女性であるわたしが引き受けたときのこと。「じゃあわたしは男性ですね」と念を押したにも係わらず、みんな間違える、間違える・・・。先生までが女性形でわたしに質問をする。果ては「あなた(女性)の奥さん」「あなた(男性)のご主人」という珍表現まで飛び出す始末。

 アラビア語は、性別の分からない相手とは会話できない、そんな言語です。代名詞にも動詞の活用にもきっちり性の概念が組み込まれていて、いちいち相手の性別を気にしなくてはなりません。だからわたしたちはずっとこの学校で「女を見たら女性形」「男を見たら男性形」で話しかける反射神経を培ってきたのです。

 それが突然、女性のわたしが男性になったわけだから、アラビア語ができる人ほど混乱し、男性形・女性形がごっちゃになっちゃった(笑)。でも有り難いことに、一人称だけは男女の別がない。だからわたしは、みんなの混乱をよそに、一人だけ涼しい顔をして、いつもと同じ一人称で受け答えをしていましたw。

 さて、今回のメインフレーズは「~しようと思ったときには、~へ行きます」という表現。電子ボードに映し出された絵を見ながら、この形式に当てはめて文章を作り、発表します。それに対して、他の皆が質問します。

 手紙を出すなら郵便局へ、買い物するならスーパーへ。こういうのはたいてい誰にとっても同じで、手紙を出しに銀行へ行く人は珍しい。

 でも話の内容によっては、個々の事情や判断が絡んできます。たとえば英語を習おうと思ったときどうするか。駅前の英会話教室に行く人もいれば、一気にアメリカまで行く人もいます。

 一般的な判断と個々の事情。その二つをどう配分し、そこに適当な想像を加えて、いかに絵の中の人物像を作り上げるか。そこがこのロールプレイの面白いところです。


① 英語の学習をしようと思ったとき、わたしはアメリカ合衆国へ行きます

عندما أفكِّر في دراسةِ اللغةِ الإنجليزيَّةِ، أذهب إلى الولايات المتحدة الأمريكية

     部分には目的、    部分には場所を入れます。

 「في+名詞」の部分は「أن+動詞(未完了接続形)」で書き換えることもできます。

①’ 英語を学ぼうと思ったとき、わたしはアメリカ合衆国へ行きます

عندما أفكِّر أن أدرسَ اللغةَ الإنجليزيَّةَ ، أذهب إلى الولايات المتحدة الأمريكية

 未完了形だと、なんとなく一般論っぽい雰囲気ですが、これが完了形だと、個人的っぽい^^。

①” 英語の学習をしようと思い、わたしはアメリカ合衆国へ行きました

عندما فكَّرْتُ في دراسةِ اللغةِ الإنجليزيَّةِ، ذهبْتُ إلى الولايات المتحدة الأمريكية

 今いる場所によっては、「行った」より「来た」が自然。

①”’ 外国人に英語を教えようと思い、わたしは日本やってきました

عندما فكَّرْتُ في تدريسِ اللغةِ الإنجليزيَّةِ للأجانب، جِئْتُ إلى اليابانِ

 ・・・どうでもいいけど、日本語って、主文が現在形だと副文は過去形が自然で、主文が過去形だと副文は現在形が自然なのねー。「~と思ったら(過去)、~する」「~と思い(現在)、~した」 ヘソ曲がり・・・(笑)。


② 喫煙を思い立つと、わたしはに出る。

عندما أفكِّر في التدخينِ ، أذهب إلى الحديقةِ

 - 喫煙は体に毒だって知ってる? - ええ、だからやめようとしたんですが、ダメでした。

   هل تعرف أنَّ التَّدخينَ ضارٌّ بِالصِّحَّةِ ؟     نعم، لِذلك حاولتُ أن أتركَهُ ولكن لم أستطعْ


③ タマゴを買おうと思ったら、わたしは中央市場へ行く。

عندما أفكِّر في شراءِ البيضِ ، أذهب إلى السوقِ المركزِ

 - 一週間に何パック卵を買うんですか? - 2パックです。

   كم طبقَ البيضِ تشترين في الأسبوعِ ؟     طبقينِ


④ 手紙を出そうと思ったら、わたしは郵便局へ行きます。

عندما أفكِّر في إرسالِ الخطابةِ ، أذهب إلى مكتبةِ البريدِ

 - 郵便とEメール、どっちが良い? - Eメール。

   أيهما أفضل : البريد أم البريد الإلكتروني ؟     البريد الإلكتروني


⑤ 友だちとゲームで遊ぼうと思ったら、ぼく、友達のうちに行くんだ。

عندما أفكِّر في لعبِ ألعابِ الحاسوبِ مع صديقي ، أذهب إليه في بيتهِ

 - なぜ自分ちで遊ばないの? - だってうちにはコンピュータゲームがないんだもん。

   لماذا لا تلعب في بيتكَ ؟     لأنَّ ليس عندي ألعابِ الحاسوبِ في بيتي


⑥ 泳ごうと思ったら、プールに行きます。

عندما أفكِّر في سباحة ، أذهب إلى المسبح

 - どんな泳ぎが一番好き? - バタフライ/クロール/背泳ぎ。

   ما هو نوع السباحةِ الذي تفضله ؟     الفراشة / الحُرّ / الظَهر

 - どこのプールで泳ぐの? - うちに大きなプールがあるんだ。 – おやまあ、それはそれは!

   في أيِّ مسبح تسيح ؟      لديَّ مسبحٌ كبيرٌ في بيتي      ما شاء الله


⑦ 空手の手習いを思い立ち、不肖それがし、日本にやってまいりました。

عندما فكَّرْتُ في تعلُّمِ الكاراتي، جِئْتُ إلى اليابانِ

 - 帯の色は何色? - 黒っす。

   أيُّ لونٍ حزامُكَ ؟     أسودُ


⑧ アラビア語を教えようと考えて、わたしは日本にやってきました。

عندما فكَّرْتُ في تدريسِ اللغةِ العربيةِ، جِئْتُ إلى اليابانِ

 - 日本の学生をどう思いますか? - 優秀です。とくに卒業生がね。

   ما رأيك في طلابِ اليابان ؟     إنَّهم ممتازون : خصوصًا المتخرِّجون


 先生の穿った一言:

هلで始まる質問は、イエスかノーか、答え方は二通りしかないんだから、
質問の内容が分からなくても、どっちか答えておけばいいんだ

 ・・・な、なるほど~~??

あなたはだあれ? わたしは誰?
あなたはわたし? わたしはあなた?


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