アラビア語

アラブ版「走れメロス」

 アラブ文化講座の宿題を終えました。「授業でやった物語に挿絵をつけてくるように」というものです。

 ハハ・・・無茶振りですがな・・・。挿絵って・・・。

 でもこの先生、以前は「授業でやった物語でアニメーションを作ってくるように」という宿題を出した前科(?)があります。どうやら、日本人なら誰でもアッという間にアニメーションを作れると思っているらしい(笑)。さすが、アニメ大国ニッポン。

 みんなの反対で、「アニメ」から「漫画でもいい」に格下げ(?)されましたが、それでもねえ・・・(そんな宿題でもやってくる人がいるところが、この学校のすごいところ)。

 まあそれに比べたら、今回の課題はカワイイものです。

 ・・・というわけで、昨日やりました。失敗しても消せるように、絵も字もすべて、フリクションで書きました。

 すごく時間がかかるかと思って億劫だったのだけれど、いざ取り掛かってみたら、家族と団欒している間に、2時間くらいで描き上がった。

 案ずるより生むが易しとはこのこと。何でも取り掛かりさえすれば、終わるのね~。


昔々あるところに牧童がいて、ラクダを飼っていました。

ある日、牧童が昼寝をしていると、ラクダがよその果樹園の実を食べてしまいました。

果樹園の実を食べられた果樹園の主は怒り、ラクダを石で殴り殺しました。

それを見た牧童も怒って、同じ石で果樹園の主を殴り殺してしまいました。

殺された男の3人の息子は、判事の前に牧童を突き出しました。

「目には目を、歯には歯を」が原則のイスラム法で、牧童は死刑になることが決まりました。

しかし牧童は、判事に頼みました。「両親から受け継いだ財宝を弟に譲りに家に一度帰りたいので、3日間、猶予をください」と。

判事は尋ねました。「おまえが逃げずにここに帰ってくることを、誰が保証するのだ」と。

すると聴衆の中から一人の男が進み出て、「わたしが保証しよう」と申し出ました。「わたしは彼を信じるが、もし彼が帰ってこなかったら、そのときは私の身をどうとでもしてくれ」と。

 

判事は牧童に3日の猶予を与え、家に帰しました。

街の人々は、牧童を信じた男の身を案じ、不安になりながら牧童の帰りを待ちました。

すると期限である日没のわずか前に、牧童が息を切らせながら、帰ってきました。

判事は驚いて尋ねました。「おまえはなぜ死刑になりに帰ってきたのだ? 逃げると思っていたぞ」と。

牧童は答えました。「もはやこの世には約束の履行など存在しないと言われたくはなかったからです」と。

次に判事は、牧童の保証人になった男に尋ねました。「おまえはなぜ保証人になったのだ」と。

男答えていわく、「もはやこの世には善行などないと言われたくなかったからだ」と。

果樹園主の3人の息子たちはこのセリフに感じ入り、「わたしたちは牧童を許します」と言いました。

判事がその理由を問うと、彼らはこう答えました。「もはやこの世に赦しなど存在しないと言われたくはないからです」と。


 ・・・どっかで聞いたような話じゃあないですか?

 アラブ版「走れメロス」(笑)。

 友達によれば、この物語の原型は古代ギリシアにあり、世界各地に類似の話があるとのことです。

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