ギリシャ語

ギリシャ語で喋ってみた

 ギリシャへ行ってきました。主な行き先は、世界一のインスタ映えスポット、サントリーニ島です。

準備と目標

準備

 旅行までの3カ月弱、以下の三つの語学アプリを使って旅先で使えそうなフレーズや単語を覚えました。

  • Nemo(無料バージョン)
  • Duolingo(無料バージョン)
  • Mondly(有料バージョン)

 Nemoに収録されている101の基本表現・単語はしっかり身につき、すぐ口から出てくるレベルになっていました。

 Mondlyは基本コースを一通り終わらせましたが、どの程度身に着いているかは、現地で使ってみるまで不明でした。

 Duolingoのコースは長大で5分の2までしか進めず、終えた部分に関しても、しっかり身に着いているとは思えませんでした。

目標

 現代ギリシア語の方が、6月にジョージア旅行へ行ったときのジョージア語よりも少し習熟度が高い気がしたので、ギリシャでは、ジョージアで喋ったジョージア語よりも、もう少し幅広いギリシャ語を使おうと思いました。

 ジョージア語よりもギリシャ語のほうが上達していた理由は以下の三つです。

  • 前回よりも旅行までの準備期間が長い
  • 印欧語族のギリシア語のほうが習得が楽
  • ギリシア語のほうが教材に恵まれている

 ただ、具体的にどんなことがジョージア語より余分に言えるのか、現地に着くまで正直わかりませんでした。

旅行中に使ったフレーズ

 実際にギリシャ語を使ったシチュエーションを大別すると以下の六つです。

  • 買い物をする
  • レストランで
  • 道を尋ねる
  • 感謝を伝える
  • 雑談
  • 独り言

買い物をする

 お店でのやり取りはだいたいギリシャ語だけでできました。

  • Γειά σας! (こんにちは)
  • Έχετε ~; (~はありますか?)
  • Πόσο κάνει; (いくらですか?)
  • Μπορώ να πληρώσω με πιστωτική κάρτα;(クレジットカードで支払えますか?)
  • Ορίστε.(はいどうぞ)
  • Ευχαριστώ.(ありがとう)
  • Καλή σας μέρα.(良い一日を)

 この会話の一番の難所は、値段を聞くところです。「いくらですか?」とギリシャ語で聞いておきながら、返ってきた数字が聞き取れなかったらガッカリだなあと思っていたのですが、意外にも聞き取れ、すべてギリシャ語でこなすことができました。

 「クレジットカードで支払えますか?」というフレーズは覚えて行ったつもりはないのですが、現金を持たずに買い物に出かけ、地元の人向けの小さな店に入ったら、これが珍しく英語が通じない店で、ギリシャ語で言おうとしたら、なんと言えてしまい、それ以来レパートリー入りしました。Mondlyで何度も聞いて、会話練習にも出てきたフレーズだったから、頭の片隅に引っかかっていたのでしょう。英語が通じない店は、カードが使えない可能性が高いので、意外と有用なフレーズかもしれません。

 ところで日本とは違い、ギリシャではカード決済をする前にお客に値段を確認させる習慣がないんですね。なのでカード払いの際には毎度緊張しました。思わぬ金額が引き落とされてしまうかもしれないと思い、カードの取引明細で金額をチェックするまでの数秒間はいつもドキドキでした。

レストランで

 レストランも、注文から支払いまでだいたいギリシャ語だけでできました。

  • Καλημέρα.(おはようございます)
  • Μπορώ να καθίσω εδώ; (ここに座ってもいいですか?)
  • Το μενού παρακαλώ. (メニューをください)
  • Μεταλλικό νερό παρακαλώ. (ミネラルウォーターをください)
  • Θα ήθελα αυτό και αυτό, παρακαλώ.((メニューを指さし)これとこれをください)
  • Το λογαριασμό παρακαλώ.(お会計をお願いします)
  • Θα πληρώσω ~ ευρώ.(~ユーロ払います)
  • Ήταν πολύ νόστιμο.(とても美味しかったです)
  • Αντιο.(さようなら)

 「ここに座ってもいいですか?」も、特に覚えていたつもりはなかったのに、言おうと思ったらなぜか言えてしまったフレーズです。これもMondlyに出てきたのだと思います。

 「これとこれをください」は、常に二人で行動していたので、主語を「わたしたち」にできればもっと良かったのですが、複数形は辞書で確認した程度だったので自信がなく、結局サッと口から出てくるのは「わたし」(一人称単数)でした。

 「~ユーロ払います」という言い方は、チップを加えた総額をカードで支払うときに使いました。ただ、肝心の数字の言い方が思い出せず、仕方なく英語で言ったこともありました。聞けば分かる数字も、自分で言うには習熟度が低すぎたようです。

 ちなみに、請求額にすでにサービス料が含まれている場合もあるそうですが、請求書を見てもよくわからないので、請求額に一律10パーセント載せて支払うようにしていました(端数は四捨五入)。

 レストランで意外だったのは、けっこう無料のお水が食事前にサービスされたことです。日本では普通ですが、海外では珍しいですよね。ただ、無料サービスだと思ったら実は有料という場合もあるので注意が必要。「これはタダですか?」とギリシャ語できけたらよかったなと思いました。「無料」という単語は どっかで見た気がするものの全く覚えておらず、使えませんでした。

道を尋ねる

 何かの場所を尋ねることもちょくちょくありました。

  • Με συγχωρείτε / συγγνώμη.(すみません)
  • Που είναι ~, σας παρακαλώ;(~はどこですか?)
  • Ευχαριστώ.(ありがとうございます)

 その筆頭はやはりトイレ。意外と使ったのが、入口と出口。あとは地下鉄の駅ですね。

  • Που είναι η τουαλέτα;(トイレはどこですか?)
  • Πού είναι το μετρό;(地下鉄(の駅)はどこですか?)
  • Πού είναι η είσοδος;(入口はどこですか?)
  • Είναι η έξοδος εδώ;(出口はここですか?)

 「入口」や「出口」という単語は、意識して学んだ記憶はないのですが、どこで覚えたんだか、不思議と知っていました。ただ、これらが女性名詞だということは、今知りました。てっきり男性名詞だと思っていたので、⋆ο είσοδος / ⋆ο έξοδος と冠詞を間違って言っちゃってました(;^_^A

 目指す遺跡が見つからず、ガイドブックの写真を指さしながら、こう尋ねたこともありました。

  • Που είναι αυτό;(これはどこですか?)

 場所は、たいてい「あっち」と指で示してくれるので、返答が聞き取れなくて困ることはありませんでした。

感謝を伝える

 今回の宿は全てAirbnbでした。Airbnbでは、家主さんと頻繁なメッセージのやり取りがあります。チェックイン完了の報告、電化製品の使い方を尋ねたり、不具合の修理の依頼など。

 できるだけ誤解が起きないよう、メッセージは基本英語で書きましたが、ギリシア語で書けるところはギリシャ語で書きました。といってもそのほとんどは「初めまして」「おはよう」「おやすみ」といった簡単な挨拶レベルです。

 実際会った際には、以下のようなことを言いました。

  • Τι όμορφο σπίτι! (なんて素敵な家でしょう!)
  • Τα λέμε αύριο το πρωί!(明朝、お会いしましょう)
  • Τέλεια!(完璧!)
  • Σας ευχαριστούμε πάρα πολύ!(大変感謝しています)
  • Καταλαβαίνω ελληνικά λίγο.(ギリシャ語がちょっとだけ分かります)

 これらのほとんどは語学アプリに出てきたフレーズそのままではなく、単語を入れ替えたり足したりして自分で組み立てたものです。入門テキストなどで文法を体系的に学んだりはしていませんが、語学アプリで多くの文例に触れているうちに、文の構成がなんとなく掴め、見よう見まねで文を組み立てられるようになりました。もしかしたら間違っているところもあるかもしれませんが、通じました。

 最後のお礼の言葉は感謝の度合いや状況に応じてパターンを複数用意しておきました。

 まず一番基本の「ありがとう」は Ευχαριστώ.

 ここにΣας ευχαριστώ.と、最初に敬称の「あなた」をつけると、ちょっと丁寧になる気がします。

 更に Σας ευχαριστώ πολύ.と πολύ(とても)をつけると、感謝の度合いが強まり、πάρα πολύ(大変)をつけると、もっと度合いが強まります。

 そして ευχαριστώ を ευχαριστούμε に変えると、感謝している主が「わたし」から「わたしたち」に変わり、自分だけでなく、グループを代表して感謝を伝えることができます。

 3カ月とはいえ、わたしは真面目にギリシャ語を学びました。その3カ月の集大成が、この挨拶です。「この家に泊れて良かった、満足している」という気持ちを伝えるには「ありがとう」の一言だけではちょっと寂しい。さりとて凝ったことは言えないので、語学アプリで聞き覚えたフレーズをいろいろ組み合わせて自分の言葉にカスタマイズしました。

 そして、わたしの気持ちは確かに伝わったと思います。家主さんたちに親近感を持ってもらえ、良好な関係を築くことができました。サントリーニ島の家主さんは、宿のあるイア村から空港までご自分の車で送ってくださいました。タクシーの相場は最低でも35ユーロ(約5000円)という、30分の道のりです。よほど気に入ってもらえたのだと思います。

 外国語の習得に膨大な労力と時間がかかることは誰でも知っている。だからこそ、言語を学べばそれだけで、真摯な歩み寄りの気持ちが伝わるのだと思います。

雑談

 出身はいろんな人からよく聞かれました。

  • Από πού είστε;(どこから来たのですか?)
  • Είμαι από την Ιαπωνία.(わたしは日本から来ました)
  • Είμαστε από την Ιαπωνία.(わたしたちは日本から来ました)

 「わたしは~」はNemoで毎日おさらいしていたのでパッと口から出てきましたが、これを「わたしたちは~」に言い換えるだけでも難しく、結局諦めて「わたしは~」にしちゃったり、Από την Ιαπωνία.(日本からです)だけにしちゃったりということが多かったです。

 あと、列車の中で向かいの席のおばあちゃんがギリシャ語で話しかけてくれたことがありました。これも「どこから来たの?」から会話が始まりました。でもそのあとの話の内容はさっぱり理解できませんでした。山の向こうにイルカがいる・・・??「山」と「イルカ」という単語しか聞き取れず。レストランなどでの定型的な会話に比べると、雑談は話の内容が幅広く、推測が困難。格段に難しいですね。

 ちなみに、ギリシャ語で話しかけてもらえたのは、席に座る時「暑いですね」とわたしがギリシャ語で言ったからだと思います。本当に暑かったので思わず口から出たのですが、これが「ギリシャ語で話しかけて」アピールになったのかなと思います。

  • Εχει ήλιο(いいお天気ですね)
  • Κάνει ζέστη(暑いですね)
  • Κάνει κρύο(寒いですね)

 実際に使ったのは「暑いですね」だけでしたが(秋のギリシャは暑かった!)、天候関係のフレーズは覚えてソンはないですね。

独り言

 ギリシャは、猫好きにはたまらない国でした。どこへ行っても猫だらけ。ニャンコを見かけると、ギリシャ語で話しかけたり、頭の中で呟いたりしていました。

  • Υπάρχει γάτα!(あっ、猫がいる!)
  • Τι όμορφη γάτα!(なんてきれいな猫!)
  • Μου αρέσουν οι γάτες.(猫大好き!)
  • Είσαι όμορφη.(おまえ、きれいだね)

ネコから返事やフィードバックが返ってきたりはしませんが、ギリシャ語で考え、話す練習にはなったと思います。

ギリシャ語で話すことの難しさ

 そこそこギリシャ語を使いはしましたが、今から振り返ると失敗もありました。

  • 英語で話してしまった
  • ギリシャ語が通じない相手だった

ありがたいけど邪魔な英語

 ギリシャでギリシャ語を話すことの一番の難しさは、たいてい英語が通じてしまうことです。観光客相手の店やレストランだけでなく、街で道を尋ねても、スーパーの店員さんでも、観光地ではほとんどの人が英語を話す。そして外国人と見れば、英語で対応してくれるので、ついこっちも釣られて英語になってしまう。頑張って一言ギリシャ語を発すれば、向こうもそれに合わせてギリシャ語で応じてくれるのですが(その辺、ギリシャ人て実に親切!)、英語で頭が回っているときにギリシャ語に切り替えるのってものすごく大変。つい最後まで英語でやり取りしてしまい、あ、しまった、と思うことが多々ありました。

ギリシャ語が通じるとは限らない

 あと、ギリシャだからといって、誰でもギリシャ語が喋れるわけではないんですね。まずギリシャは外国人観光客が多いし、ギリシャに住んでいても、ギリシャ語ネイティブとは限らない

 日没後にサントリーニ島に降り立ち、宿のスタッフに村の入り口まで迎えにきてもらったときのこと。暗がりだったのでお顔がよく分からず、ギリシャ初日だったので張り切ってギリシャ語で話しかけたのですが、「ギリシャ語だね」と英語で反応してくれるばかりで、ギリシャ語の返事が返ってきませんでした。なんか変だなと思いつつ暗くて細い路地をうねうねと一緒に歩き、やっと宿について明かりをつけたらなーんと! どうみてもヨーロッパのお顔立ちではない・・・。「お国はどちらですか?」と尋ねると、インドから毎年シーズン中のみ出稼ぎに来ているとのこと。アハ、アハハハ~! インド人にギリシャ語で話しかけていたわたしって一体・・・( ̄▽ ̄;) 冷や汗をかきました。

 まあこの方は出稼ぎ歴が長く、実はギリシャ語も話せることが後に判明しましたが、他にパキスタン、ポーランド、ブルガリア出身の方にも出会い、ギリシャ語を解すのは出稼ぎ歴の長いパキスタンの方だけでした。

 別の国からやってきて、ギリシャに魅せられ、この国にお店を開く人もいます。たとえばサントリーニ島で唯一の書店Atlantis booksの店長さんはアメリカ人ですし(店長さんのTed talk)、アテネのラーメン屋So So So!の店長さんは大阪で修行したオーストラリア人でした。ギリシャにおける外国人の割合は、日本よりもはるかに高いのが印象的でした。

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