テュルク諸語

カザフ語メモ

 Memrise簡単なカザフ語」(基本語彙285)を根性で終えたので、ほとぼりが冷めないうちに気づいたことをメモ。

 このコースを始める前は、カザフ語について、「たぶんテュルク諸語」ということしか知らず、拡張文字を多く含むキリル文字を使用していることも、このコースを見て初めて知りました。

 Memrise自体も初めてで、どの程度コースを信頼していいのかも分からなかったので、Chromeの拡張機能でgoogle翻訳の試訳ポップアップを軽く参考にしつつ進めました。今のところスペルミスなどは発見していません。(※ボスニア語のコースではいくつか発見)

 カザフ語は確かにテュルク諸語のようで、トルコ語に似ている基本語彙がたくさんありました。

 ただ、想像していたほどではなかったかな。もっと共通の基本語彙が見つかるかと思った。「兄弟」と呼べるほどは似てはいないと感じました。「いとこ」くらいのかんじ? スペイン語とフランス語の関係ほど近くはなく、せいぜいフランス語と英語の違いくらいな感じかな、と思いました。

 ただ、造語法は似ていますね。もしかしたら、文法も似ているのかもしれません。教養語彙に関してはまた違った感触かもしれません。

 ※ カザフ語に張ったリンクをクリックすると、発音サイトforvoにとびます。

トルコ語と同じスペルの単語

кімkim
неne
етet
орманorman
сары黄色sarı
ескі古いeski

 文字の違いだけで、嬉しくなっちゃうくらいスペルがきれいに対応。ただ発音はけっこう違うものも。Еはyeみたいに発音するんですね。

スペルは若干違うが、ソックリな単語

құмkum
ақak
қараkara
айay
суsu
сүт牛乳süt
ауыр重いağır
бүгін今日bugün
сәрсенбі水曜日çarşamba
жұма金曜日cuma (アラビア語から借用)

 曜日はかぶるものもあるが、違うものも。なんだかよくわからないトルコ語の曜日に比べると、カザフ語の曜日は、金曜日以外規則的で気持ちが良い(ペルシャ語から借用)。

жексенбі日曜日pazar
дүйсенбі月曜日pazartesi
сейсенбі火曜日salı
сәрсенбі水曜日çarşamba
бейсенбі木曜日perşambe
жұма金曜日cuma
сенбі土曜日cumartesi

 月の名前はもう全くトルコ語と違う。一体これ、どこから来たんだろう? ロシア語とも違うし、ペルシャ語とも違う。

トルコ語との音の対応が見られる単語

жとy

 ж(/ʒ/)はトルコ語のy(/j/)と音の対応が見られる。

жылyıl
жазyaz
жер地面yer
жұлдызyıldız
жасыл緑色yasıl
жауу降るyağmak

шとç

 ш(/ʃ/)もトルコ語のçによく対応している。

үшін~のためにçin
ішу飲む
ағашağaç
ұшақ飛行機uçak
шайçay
кіші小さいküçük

ғとğ

ағашağaç
табиғат自然tabiat (※ アラビア語から借用)
тағам食べ物taam (※ アラビア語から借用)
сағат時間saat (※ アラビア語から借用)

 ғは、トルコ語のğに対応。カザフ語の音は若干喉にかかっているような・・・。

өとö

 өはトルコ語のö? 音がそっくり。

元は同じかもしれない単語

төбеtepe
тауdağ
теңізdeniz
допボールtop
қысkış
керек必要gerek
көлgöl
бейсенбі木曜日perşambe

 有声音と無声音の違いはあるけれど、元は同じ語じゃないのかな。でも変化の規則性に欠けるので、確信は持てない。

動詞の形

болуいる、ある 
істеуする、なす 
келу来るgelmek
бару行く 
жеу食べるyemek
ішу飲むiçmek
көру見るgörmek
білу知るbilmek
алу得る、取るalmak
ойлау思う 

 トルコ語では動詞の原型は-mek(もしくはmak)の形をとるけれど、カザフ語の動詞の原型はуで終わるかたちで示されるみたい。それにしても、こんな超基本単語でもずいぶんと違うって意外。

造語法

-ші(-çı)

 -ші(またはшы)で「~する人」の意味になるところが、トルコ語の-çıと同じ。

хатшы受付(秘書)
тілшы記者(リポーター)
көрші隣人
малшы農家
сатушы売り手

-ша(-ca)

 -шаで「~語」もトルコ語の-caと同じ!

Ағылшынша英語
Қазақшаカザフ語

-лы(-li)

*қар 雪қарлы 雪の
жел 風желді 風の
*ақыл 知性ақылды 賢い

 -лы(もしくはдіなど)で「~がある」という意味の形容詞になるところも、トルコ語の-liと同じ。(※ 語頭に*をつけた語は、このコースには出てこなかった単語) カザフ語はлを二つ重ねないんですかね。

-сіз(-sız)

  сөз 言葉 → сөзсіз 必ず・無条件に

 この言葉には一本取られました! -сізで「~がない」という意味の形容詞になるところはトルコ語と同じだけれど、文字通り「言葉なし」という意味になるトルコ語のsözsüzとは違い、「言わずもがな」って感じ? トルコ語のsayısız(「数がない」のではなく、「無数の」という意味)と同じノリですね。

-лык(-lık)

  сөз 言葉 → сөздік 辞書

 トルコ語同様、-лык(もしくはдікなど)で名詞化したり器を示すんですね。

-ашақ(-acak)

  болуいる/ある → болашақ 未来

 使っている動詞は違うのに、トルコ語のgelmek 来る  → gelecek 未来 と作り方が同じところが面白い^^。

トルコ語以外との類似

アラビア語

мәдениет文化مدنية (文明)
рух精神روح
үкімет政府حكومة
дүние世界دنيا
отан祖国وطن
ғимарат建物عمارة
қаламペンقلم
мысалمثال

 アラビア語からの借用語。イスラム化によりアラビア語の影響を受けた祖語が、民族の移動に伴いトルコ語・カザフ語などに分化していったのか、それとも、トルコ語・カザフ語などに分化したあと、個別にアラビア語の影響を受けたのか?? セルジューク朝の西進とテュルク系民族のイスラム化の時期がかぶるのでよく分からない。

ペルシャ語

мейманханаレストラン・ホテルمهمانخانه

 ペルシャ語からの借用語。アゼルバイジャン語でmehmanxana。きっと他にもあるんだろうなー。気づかないだけで。

ロシア語

қарындаш鉛筆карандаш

 ロシア語と似た単語。ロシア語からの借用語かと思いきや、なんとこっちが本家本元なんだそう(wikipedia参照)。kara taş(黒い石)からきているのかー。大ロシアに影響を与えるとは、あっぱれなり(笑)。


 とりあえず、気づいたことを書いてみました。

 これでカザフ語はひとまずおしまい。

 ・・・さて、ボスニア語に戻るか。(え?)

 てゆか。明日までにアラビア語の宿題やらないと。

関連リンク
トルコにて
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