フランス語

さすがフランス男子?

 相互添削コミュニティlang-8、ゆるーい感じでたまに使っています。親切な人はとことん親切。本当にありがたい。なんだか人間の性善説が信じられる気がする^^。

 まずこういう場があること自体、すごく便利でありがたい。ただその恩恵を自分も返そうとすると、日本語添削が意外にも時間を食う。記事を書く以上に、添削に時間がかかるのが、頭の痛いところ。

 また、メンバーは必ずしも真面目な外国語学習者とは限らない。性善説をあまり信じすぎると危険かもしれません。


 先日、たまたま学習言語をフランス語にしていたら、23歳のフランス男子なる御仁からメッセージが届きました。曰く、

 コンニチワ、ボクはフランス人です。23歳です。日本語を独りで学んでいます。日本語は難しいです。まだ初心者です。

といった内容。日本語はローマ字で「コンニチワ」だけ。あとはフランス語で、英語の対訳がついていました。

 もしかして、わたしも同年齢の女の子だと思われているかも。ならば無駄な期待の芽は早めに摘んでおくに限る。そう思って、こちらも年齢を入れて返しました。

 Bounjour.
Merci beaucoup pour votre message.
J’apprend le français tous seul moi aussi, et le français, c’est très difficile.
Je suis Japonaise.
J’ai 51 ans. Je suis comme ta mère.
Enchantée
(ボンジュール、メッセージありがとうございます。私もフランス語をひとりで学んでいます。フランス語はとても難しいです。わたしは日本人です。わたしは51歳です。君のお母さんみたいなものね。どうぞよろしく)

 ローマ字と漢字かな混じり文の両方で日本語もつけました。日本語学習の足しになればと思って。

 一方フランス語はほとんど先方が書いてきた表現の使い回し。省エネ、省エネ^^。

 すると、5分も経たないうちに返信が来ました。

ほんとだ、ボクのママと同じくらいの歳ですね^^。もしかして、僕と同じくらいの息子か娘がいますか?

 今回は全部フランス語。あらら、日本語はさっきの「コンニチワ」でおしまい?

 ・・・まあいいや、こちらもすぐ返信を返しました。

 Oui, j’ai deux filles qui ont 24 et 21 ans ^-^
(ええ、24歳と21歳の娘が二人いるわよ^^)

 何も考えず、そう書いて出しちゃった。ちなみに日本語はもうつけず。

 すると、またしても5分で返信が。

 えっ、本当?! ねえ、お嬢さんも、フランス語できる? 二人のうちのどちらかと、フランス・日本両国の文化の違いについて、ディスカッションしたいんだけど。

みたいな内容。今回もオールフランス語。おーい、日本語はどうしたー?

 しかし『ディスカッション』て・・・(笑)。見え見えな口実が可愛い^^; きっと若い日本の女の子と、と~ってもお友達になりたいのね。もしかしてアニオタ君かも。

 どんな子だろうと思い、エントリを読もうと思ったら、なんと一つも上げていない。おいおい、本当に日本語学ぶ気、あるの~?

 ちなみにLang-8には、「ナンパ通報ボタン」があります。こういうボタンが用意されているということは、外国語習得ではなく、ナンパ目的の輩も存在するという証拠でしょう。

 どうやらこの子もその手合いのよう。ちょっとわたし、無防備すぎたかも。大事な娘たちを、ナンパ君の釣りに使ってしまった;;

 よく考えたら、こういう場で本当のことを書く必要はないのよね。フィクションでも構わない。ヨシ、これからは少し嘘つきになろう。

 そう決心して、こう返信しました。要点:

 La fille aînée parle français.Mais elle a déjà un petit ami et ne s’intéresse qu’à lui. Tant pis!
La petite ne sait pas parler anglais et encore moins français.
Bon courage! Apprenez le japonais!
(長女はフランス語ができますが、もう彼氏がいて、他の人には興味がないの。残念!
下の子はフランス語はおろか、英語も喋れません。
頑張れ! 日本語を学び給え!)

 100%ウソってわけではないけれど、いくらか脚色を加えてみた^^。ナンパ君にはこれで充分。

 でもこれが、彼が本当に日本語を学ぶきっかけになったらいいなあ。日本女子と仲良くなるには、日本語を学ばなくちゃダメだ、と気づいてくれたら・・・。

 でも「こういう返信を出した」と娘に話したら、

 「ええー! ママひどい! たったこれだけのやりとりでナンパ君認定?! もしかしたら真面目な日本語学習者かもしれないじゃない」ですと。

 「いいえ。それはないわね。もし本当に文化の違いについて語り合いたいなら、なぜわざわざあなた方を指定してくるわけ? わたしと語り合えばいいでしょう」

 「・・・あ、そうか。確かにそうかも^^;」

 だがしかし。こんなことでへこたれるナンパ君ではなかった。四信目がすぐに来ました。でも・・・。

じゃあボク、下のお嬢さんと話したいので、あなた、通訳してくれませんか?

 ・・・ハイ? そんな他力本願な子、お母さんはもう知りませんッ!!

 日本語を学ぶ動機として、「日本女子とお友達になりたい!」という動機自体は否定しない。不純どころか、外国語を学ぶにあたり、これ以上に純粋な動機もないと思う。

 でも日本語を覚えようともせず、手っ取り早く目的だけ達そうとするその怠惰さが気に入らない。二信目以降はオールフランス語。仮にも日本語学習者を名乗るなら、日本語でエントリの一つも書きたまえ!

 日本の女の子と知り合いになりたい一心で、がむしゃらに日本語を学びたまえ。そしたら、ナンパはナンパでも、一本筋の通った、見上げたナンパ君だと認めて進ぜよう。

 ・・・と思いつつ、返信はせず。実はここで初めて気づいたの。黙殺、という選択肢もあるんだ、と。バカよねー、わたしって。

 ああ、余計なことに首を突っ込んでしまった。深く反省。ご無沙汰なフランス語でメッセージがやり取りできることが、面倒くさくも嬉しくて、つい浮かれてしまった。

 あと、ナンパ君のこのガッツにほだされた、という部分もあります。「ああ言えば、こう言う」的な食い下がり方がいじらしくて可愛くて、つい付き合ってしまった。物怖じしない積極性が新鮮だった。

 こういう積極性は、日本の草食系男子諸君にもぜひ見習っていただきたいものだ^^。

 ちなみに数日後、lang-8にログインしてみたら、ナンパ君は退会していました。ひょっとすると、他の女性にもナンパメッセージを送りまくって通報され、強制退会させられちゃったのかも・・・? 真相は分かりませんが。

 ホッとしたような、残念なような^^;。

パリ・モンマルトルにて

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