英語

「英語はインド式で学べ」安田正

 英語学習法の類で久々のヒットにあたりました。

 

英語はインド式で学べ! [ 安田正 ]
日本人の脳に最も適した「インド式英語学習法」 安田正 ダイヤモンド社

 

 インド式数学が流行ったと思ったら、今度はインド式英語?!と最初はマユツバでしたが、読んでみたら意外とよかった。

 一体何がどう「インド式」かというと:

「正確なネイティブっぽい英語を話せないのであれば、それを指摘されるのが恥ずかしいから、英語はひと言も話さない!」

英語はインド式で学べ! [ 安田正 ] p.291

・・・これが日本人。

「自分たちの英語を作って、それをドンドン使って世界に打って出る」

英語はインド式で学べ! [ 安田正 ] p.292

・・・これがインド式だそう。

 いやー、確かに。英語はいまやインド人に乗っ取られそうな勢い。数から言ったら、アメリカ人とイギリス人を足したより、インド人の英語話者のほうがそろそろ数が多いんじゃないか? 汎用的に使いたいならイギリス英語やアメリカ英語にしがみついている時代じゃないとわたしも思います。

 実際、先日もレッスンで、「日本人もJapanese、ボスニア人もBosnian。言語と同じで簡単だけど、イギリス人はBriton、スペイン人はSpaniardって言わなきゃダメ?」って尋ねたら、先生に一蹴されたっけ。

 「Britonなんて言葉、いまどきイギリス人だって使わないよ。イギリス人はEnglishまたはBritish、スペイン人はSpanishで十分」と。

 そう言ったのはネイティブじゃありませんが、わたしはこの意見を採用することにしました。だってそのほうが合理的で簡単だもん^-^♪ リンガフランカが簡便・規則的でなくてどうする。

ネイティブのマネをする受け身型の英語

英語はインド式で学べ! [ 安田正 ] p.74

から脱却して

非ネイティブの人々が道具として使いこなせる世界標準の英語

英語はインド式で学べ! [ 安田正 ] p.74

を目指すというこの本の主張には全面的に賛成です。

 「インド式英語」といいつつ、インドを真似るのは入り口だけで、この本の主眼は、日本人の弱点把握と、それをいかに攻略するかにあります。

 その日本人の弱点が、あるあるネタ満載。笑わせてもらいました。こういう弱点に気づいておくだけでも違ってくる気がする。

 たとえば日本人が使いこなせない英語の文型の例として、この本には3つの例があげられています。

The manager sounds angry.

I find the office wide.

I give you hints.

英語はインド式で学べ! [ 安田正 ] p.135

 上からSVC、SVOC、SVOO。こうした文型が使いこなせないということは、つまり英語の基本5文型のうち、日本人が使いこなせるのはSVとSVOだけってこと?

 でも実際自分を振り返ると、確かに。全く使わないことはないけれど、次のように言っちゃうほうが多い。

  • The manager seems to be angry.
  • I find the office is wide.
  • I give hints to you.

・・・って、全部SVOですがな^^; 前置詞が苦手と言いつつ、わざわざ前置詞を使っているんだなあ、と気づきました。

 他にも「あるある」満載。

日本人の声の出し方 小さくて高いから聞き取りづらい

英語はインド式で学べ! [ 安田正 ] p.201

あるある! 教室でよくある~! 先生が「何?」って聞き返すと、みんな「あ、発音が悪くて通じない」って恥じ入るけれど、実はそもそも声が小さすぎて先生の耳に届いていない。「初心者は声が小さくて、聞こえない~」とDMMの先生も嘆いていたっけ。

日本人は、正確に話そうとして頭の中で考えるあまり、すぐに「沈黙」してしまう。

英語はインド式で学べ! [ 安田正 ] p.206

アラビア語を始めた頃のわたしがまさしくそうでした^^;

日本人の9割が、だんだん語尾が小さく、あるいは消えていくような話し方をしている

英語はインド式で学べ! [ 安田正 ] p.209

これもわかるー!! 特に男性に多い。語尾が消えてはっきりしないの。「これ食べる?」って尋ねると、「食べ・・・」みたいなこたえが返ってくる。こういうの聞くとイラッとして「食べるの、食べないの、どっちなのッ?!」と思わずムキになって質しちゃう^^; 英語だけでなく、頼むから日本語も語尾までハッキリ喋ってくれ。

日本人は会話の中で、白目をむく

英語はインド式で学べ! [ 安田正 ] p.218

はーい、これもワタシでーす!! 言い回し考えているときって、つい上のほう見ちゃう。しかもなぜかいつも左上^^;。でもそれって人から見ると白目を剥いているように見えるのか、と納得^^;

「日本人がみ~~んなやっている、『アレ』は何かの儀式か??」とアラブ人に言われたというエピソードには爆笑でした。そうか、わたしだけじゃなく、日本人、みんなやってるんだー。

 でもスカイプの先生にこの話をしたら、「日本人に限らず、誰でも考えるときは左上を見るもんじゃないのー? 心理学の本で読んだ気がする」とのことでした^^。

 とにかく面白かったです。あと、とても読みやすかった。

 最近思うのですが、英語学習法は、読みやすい本が多い。引用もしやすい。

 これが「英語」に特化しない「外国語学習法」の本だと、引用が大変。要点が一箇所に纏まっていないから。それって、要点だけ立ち読みで読み逃げされないよう、わざと? とにかく読み手の読解力頼みの文章が多い。

 英語学習法の本は、スパッとしていて、誰が読んでも分かりやすい。市場が大きい分、競争も熾烈な英語の世界では、それくらい親切でないと埋もれちゃうからかな。まあ、読みやすいは読みやすいが、内容が・・・なのも多いですけど。

 この本は、英語に関してもよかったけれど、日本語の書き方の参考にもなりました。なんか「ハーバード式英語学習法」に似てたな。わたしもこんなふうにスッキリとした文章が書けるようになりたいです。

タイトルとURLをコピーしました