アラビア語

アラビア語学校の日常17 学生発表会

 いままで「学生発表会」について書くのを忘れていました。

 わたしたちの学校の学生発表会はね、とお~っっても楽しくて、豪華なんです。――何が豪華なのかって? お料理です!! 学生発表会は毎月、最後の土曜日に行われます。週5日学校に通っていた頃、土曜日にまで学校へ行くのは相当ハードでしたが、お料理に惹かれ、万障繰り上げて参加していました。

 学生発表会は、普段のアラビア語習得の成果を発表する場です。各自、自分に合った形で、アラビア語の成果を披露します。演劇部や人形劇部が劇をやるほか、自分で書いたアラビア語の作文を読む人もいれば、パワーポイントを使って日本文化の紹介をアラビア語で行う人もいます。日本の昔話の紙芝居をアラビア語に直して披露する人もいます。イスラム教徒に限らず、クルアーン(コーラン)の暗唱に挑戦する人もいるし、何をやっていいか思いつかない人は、授業のテキストをそのまま読むだけでもOKです。

 かく言うわたしも、思い出してみると、けっこういろいろやってきましたねえ・・・。

 最初に出たときは、アラビア語を始めた経緯を書いた作文を読みました。アラ検合格体験記の一部をアラビア語で書いたものです。まだ学校に編入したばかりの頃でしたが、発表の内容についてたくさんの人から話しかけられ、一気に知り合いが増えました。

 演劇部に入って劇をやっていた時期もあります。「アラジンと魔法のランプ」のときは「ランプの精」、「アリババと40人の盗賊」では「盗賊の親分」になって学校の宝物殿(ほんとにあるんだってば)から取り出したアラブ風の衣装を身に纏い、観客を巻き込んで思う存分暴れまわりました。

 一人で落語をやったこともあります。アラビア語寄席^^。授業でやった「ジョハ」のテキストを落語用に書き直し、浴衣を着てやりました。アラブで笑い話の主人公といえば、いつも「ジョハ」という名の男です。この落語は校長先生にウケが良く、ご褒美にアラブ製のリュックサックを特別にいただきました。

 クラスの友だちに誘われて、授業でやった内容を劇仕立てにしたこともあります。悪魔の役をやったときは、100均でハロウィーン用に売っていた電気でピカピカ光るツノをつけました。先生の一人がそのツノをものすごーく気に入り「国にいる3人の孫へのおみやげにしたいから、あと2つ手に入れてきてくれ」と頼まれたのですが、ハロウィンが終わってしまったので、なかなか見つからず、苦労した覚えがあります。

人形劇部の「ヘンゼルとグレーテル」

 卒業後の今回は、人形劇で「ヘンゼルとグレーテル」の人食い魔女の役をやりました。娘にケーキを焼いてもらい、それにお菓子を飾って「お菓子の家」を作りました。

ハラルお菓子の家

 イスラム教徒の人にも食べてもらえるよう、豚肉由来の原材料を一切使っていない材料のみを探して使いました。日本のお菓子の大半はゼラチンや乳化剤といった豚肉から採った材料が使われているのです。「ハラル」(イスラム教徒が食べられる食材)に頑張ってこだわった甲斐あって、司会の先生がたいそう気に入ってくださり、お菓子の家だけ改めて紹介してくださいました。

 出し物をやると、いつも一箇所や二箇所はトチって冷や汗をかきます。本番はどうしても上がってしまい、練習のときのようにはいきません。でも敢えて、気にしなーい! 間違えても、失敗しても、発表を最後までやりぬいたあかつきには、充実感と達成感が待っています。

 発表会への参加は、学生・卒業生のみならず、アラブ文化やアラビア語に興味のある人なら誰でも参加できます。参加費は無料。学生が家族や友だちを連れてくるのも普通のことで、わたし自身、娘の友だちでアラビア語に興味があるという人をお誘いしたことがあります。今回はこの間イスラームキャンプで知り合った友達が来てくれました。外大の学生さんがたくさんお越しのこともありましたし、学校の隣のお寺の住職さんの奥様がいらしたことも。運がよければテレビのアラビア語講座でお馴染みの方も会えます♪ わたしは昨年、憧れのリームさんにお会いしました^^。カリーマさんやモーメンさんも以前にいらしたことがあるそう。もう一度いらして~!

 今回の出し物は、わたしたちの人形劇以外には、アラブ諸国の大使館に就職した卒業生の「就活体験談」や、4月に入ったばかりの新入生による授業スキット、演劇部の「桃太郎」の劇などでした。2歳の坊やによるクルアーン暗唱(!!)の飛び入り参加もありました。最初のうちは「見るだけ」の人もいますが、参加者のほとんどは何かしら発表したり、コックさんのお手伝いをしたり、司会者を務めたりして、場を盛り上げます。

演劇部の劇「桃太郎」

 学生発表会はまだ始まって2年と歴史が浅く、今なお発展途上です。最近、回を重ねるごとに参加者が増え、お料理が豪華になっています。わたしたち参加者はお料理が豪華だと張り切りますが、どうやらコックさんも、参加者が多いと料理に張り切るみたい。参加者が会場を埋め尽くしていた今回(70人くらい??)は、お料理も品数が多くて、とても豪華でした。物事って、はずみがつくと、どんどん楽しいほうへ、楽しいほうへと転がっていくのですね。

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